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所有者が認知症のクルマを処分することは可能?代理でクルマを処分する方法をご紹介

クルマの廃車や売却は、委任状を用意することで代理人が申請することが可能です。しかしクルマの所有者が認知症と診断された場合、委任状があったとしても第三者がクルマの処分を行うことができません。

所有者が認知症のクルマを処分するためには成年後見人を立てる必要があります。本記事では認知症の方が所有するクルマを第三者が処分するための方法や手続きの流れをご紹介。

クルマをそのままにしておけば、認知症の方がご家族の知らないうちに運転をしてしまい、事故につながる危険性もありますので、早めに対処する必要があります。また正常な判断ができるうちであれば、認知症になってしまう前に、ご家族内でクルマの処分について話し合うことが大切です。

もくじ

認知症患者のクルマを処分するには成年後見人を立てる必要がある!申立ての流れと必要費用

クルマの処分は所有者の実印が押された委任状を作成することで、第三者が代理で手続きを行うことが可能です。ただし委任状の制度は「所有者本人に正常な判断能力がある」ことを前提とされています。そのため正常な判断能力が認められない認知症患者が所有するクルマは、委任状があったとしても代理人が手続きを行うことができません

現在、日本には判断能力が不十分な方々を守る成年後見人制度があります。成年後見人と裁判所に認められた人であれば認知症と診断された方のクルマを代理で処分することが可能です

成年後見人とは

認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。また、自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあうおそれもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。
参考:法務省 成年後見制度・成年後見登記制度

成年後見制度は介護保険制度と一緒に2004年4月から始まった制度で、判断能力が不十分な人が不利な契約を結んでしまったり、悪徳商法の被害に遭うことがないように保護支援をすることが目的です。

成年後見人は手続きが非常に煩雑で、選任された後も財産の管理・契約・家庭裁判所への報告など多くの役割があり、ご家族が成年後見人になるには負担が大きいことから、最近では司法書士、行政福祉士など専門職に就く方が選任されるケースが増えています。

成年後見人になるために特別な資格は必要ありませんが、以下の事項に当てはまる場合はなることができません。

(後見人の欠格事由)
第八百四十七条 次に掲げる者は、後見人となることができない。
一 未成年者
二 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
三 破産者
四 被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
五 行方の知れない者
引用:民法847条

また後見人の候補者でも、次に当てはまる場合にはご家族が後見人として家庭裁判所に認められず、第三者が選任されることがあります。

①親族間に意見対立がある場合
②本人に賃料収入等の事業収入がある場合
③本人の財産(資産)が大きい場合
④後見人等候補者ないしその親族と事件本人との利害対立がある場合
⑤後見人等候補者が高齢の場合
引用:成年後見人の実務-東京弁護士会

親族が成年後見人に選任されなかった場合には、弁護士や司法書士など専門職に就く第三者が選任されるケースが多いです。

成年後見人申請の流れ

成年後見人の申請は下記の流れで行います。

  • ①申込人を決め申請する家庭裁判所を確認する
  • ②診断書を取得する
  • ③必要書類を用意する
  • ④面接日を予約する
  • ⑤家庭裁判所へ申立てを行う
  • ⑥審理開始
  • ⑦裁判所職員による面接を受ける
  • ⑧審判
  • ⑨後見登記

申立ての準備から後見登記を行い、成年後見人としての仕事が開始できるようになるまでにかかる期間は3~6ヶ月程度です。認知症の診断がされてからは成年後見人が決まるまで本人に必要な契約などの法的行為ができなくなりますので、早めに手続きを開始する必要があります。

①申込人・後見人候補者を決め家庭裁判所を確認する

まずは成年後見人を申し立てる人を選びます。申立てができるのは本人、配偶者、四親等内の親族です。本人や親族が申立てできない場合には市町村長などが申立てをするケースもあります。申立てが不安な場合には弁護士に相談しましょう。

申立ては本人の所在地を管轄する家庭裁判所で行います。申立人や候補者の所在地ではありませんので事前に申請場所を確認してください。

②診断書を取得する

申立てには本人にどの程度の判断能力があるかを医師に診断してもらう必要があります。主治医に診断書の作成を依頼してください。

後見制度は被後見人の判断能力に応じて「後見」「保佐」「補助」の3段階に分けられます。重度の認知症や知的障害などで本人に判断能力がないと判断された場合には「後見」、普通の人よりも判断能力が不足しているが日常生活を送ることができると判断された場合は「保佐」、判断能力が多少不足するものの、保佐よりも程度が軽い場合には「補助」となります。

後見・保佐・補助のどれに該当するかで、代理人に与えられる権限が次のように異なります。

  • 後見…代理権・取消権
  • 保佐…取消権・同意権・(家庭裁判所が認めた場合)代理権
  • 補助…取消権・同意権(家庭裁判所が認めた場合)保佐よりも制限がかかる

参考:法務省

クルマの処分を行うためには、代理人が本人に代わって法律行為を行う代理権が必要となります。保佐・補助と判断された場合には、代理権を得るために家庭裁判所申立てを行わなければいけません

③必要書類を用意する

申立てには本人と後見人候補者の住民票や戸籍謄本といった書類の取り寄せと、申立て書類の作成が必要です。

必要書類や記載方法については最高裁判所HPにて案内されています。

④面接日の予約をする

後見人候補者や申立人は、後見制度を開始するために家庭裁判所にて面接を受ける必要があります。面接日は事前に予約をする必要があり、2週間~1ヶ月程度かかることもありますので、書類準備の目処が立ったら早めに予約をしたほうが良いでしょう。

⑤家庭裁判所へ申し立てを行う

必要書類の準備が完了したら、本人(被後見人)の所在地を管轄する家庭裁判所へ書類を提出し、申立てを行います。

⑥審理開始

裁判官により書類の審査、被後見人の状況などを総合的に考慮する審理が開始されます。審理が始まってから終局までは2週間~一ヶ月程度です。

家庭裁判所が必要と判断した場合には、「鑑定」を受ける必要があり、鑑定を受ける場合は審理期間が1ヶ月~3ヶ月程度と長くなります

⑦裁判所職員による面接を受ける

後見制度を開始するためには申立人と後見人候補者が面接を受ける必要があり、「受理面接」と呼ばれています。受理面接は審理を円滑に進めることを目的としており、申立てをした理由や申立人・後見人候補者の生活・財産状況、親族の意向などを確認されます。

受理面接には本人確認書類・印鑑・財産を証明する書類(預金通帳など)が必要です。また裁判官が必要と判断した場合には被後見人の面接が行われることもあります。

⑧審判

審判とは、調査結果や資料を基に裁判官が判断を決定する手続きを指し、ここで成年後見人の選定が行われます。場合によっては成年後見人とは別に監督・指導を行う成年後見監督人が選出されることも。

審判が出されると成年後見人に選出された人に審判の内容が記された書面が送付され、書類到着から2週間以内に不服申し立てがなければ後見制度が開始されます。

⑨後見登記

後見人の氏名や権限が記載された後見登記が法務局にて作成されます。代理人が本人に代わって法律行為を行うためには後見登記を基に発行される登記事項証明書の取得が必要で、クルマの売却を本人に代わって行う際にも必要となります。
参考:成年後見人の実務-東京弁護士会
参考:相続サポートセンター

成年後見人申立てに必要な費用

収入印紙(申立て手数料) 800円
収入印紙(登記手数料) 2,600円
郵便切手 3,700円分
鑑定費用 5万円~10万円程度
依頼料 10万円~30万円

出展:最高裁判所

稀ではありますが、裁判官が必要と判断した場合、10万円程度の鑑定費用が必要です。鑑定の必要がないと判断された場合には鑑定費用はかかりません。

また手続きには時間がかかり書類作成も慣れていない方には負担が大きいため、司法書士や弁護士に依頼することも可能ですが、その場合10万円~30万円の費用がかかります

認知症の方が所有するクルマを処分する際に必要な書類

必要書類 費用目安
成年後見人の実印 0円
成年後見人の印鑑証明書 発行:300円程度
登録:0~500円程度
成年後見人の住民票 300円程度
成年後見人の戸籍附票 500円程度
成年後見人の戸籍謄本 500円程度
登記事項証明書 480円

成年後見人が選任された後は、対象者の印鑑証明登録が抹消されます。そのためクルマを処分する際には成年後見人の印鑑証明と、成年後見人であることを証明する登記事項証明書が必要となります。

登記事項証明書は法務局、印鑑証明・住民票・戸籍附票・戸籍謄本は市区役所や行政サービスセンターで取得が可能です。マイナンバーカードを使い、印鑑証明や住民票などをコンビニで発行するサービスを利用できる地域もありますので、ご自身がお住まいの役所HPを確認してみてください。

またこれらの書類は発行から3ヶ月が使用期限となります。3ヶ月以上経過した書類だと、運輸支局でクルマの名義変更や廃車の手続きが行えませんので、期限に余裕を持って書類を用意しましょう。

成年後見人がクルマを処分する方法

成年後見人が選任されたらクルマの処分先を決めます。クルマを処分する方法は大きく分けて次の2つとなります。

  • ディーラーに買取を依頼
  • 中古車買取業者に買取を依頼

ディーラーに買取を依頼

ディーラーにクルマを持ち込み、代理で買取査定を依頼することが可能です。ディーラーに買取や廃車を依頼した場合には、クルマの引き取りや運輸支局で必要な手続きを代行してくれますので代理人の手間を省くことが可能です。

ディーラーでの買取は、新車を購入してくれるお客様に対するサービスの一環として行われています。クルマを乗り換える場合は、下取り価格を高く付けてくれることもありますが、認知症の方のクルマを代理で処分するような場合には、査定額が低くなるケースが多いです。

また中古車として転売が難しい古いクルマ・故障車は、0円査定も珍しくありません。お金を受け取ることができないどころか廃車費用として数万円を請求されることもあります。クルマを代理で処分する場合には、所有者本人のためにも高額査定が狙える買取業者へ査定を依頼することがオススメです。

中古車買取業者に買取を依頼

クルマの処分というとディーラーをイメージされる方が多いですが、クルマの性能が上がり、中古車の需要が高まる今、中古車の買取を専門とした業者は多く存在します。

新車販売を目的としたディーラーとは異なり、中古車買取業者はお客様から買い取った
クルマを転売することで利益を出しています。転売する在庫がなければ営業することができませんので、売却先を自分のお店に決めてもらおうと査定額を高く出す努力をしてくれます。そのためディーラーにクルマを売却するよりも、中古車買取店へ売却したほうが高く売れる可能性が高いです

手間を省いて高額査定が狙える!一括査定

ディーラーよりも中古車買取店のほうが高く売れる可能性が高いですが、一から買取業者を探したり、いくつもの買取店を回ったりすることは代理人の方にとって大きな負担となります。そのためクルマを売却するならネットで申込みが可能な一括査定サイトの利用がオススメです。

数分で査定申込みが完了

一括査定サイトでは専用の査定依頼フォームが用意されており、クルマの車種や年式、走行距離などの基本情報と、申込みをする人の個人情報を入力するだけで査定依頼ができます

車両情報の入力フォームは選択形式になっていることが多く、スマートフォンやパソコンの操作に慣れていない人でも数分で申込みが可能です。

高額査定をしてくれる業者が見つかりやすい

中古車買取業者によって高く買取ができるメーカーや車種、ボディタイプが異なるため、少しでも高くクルマを売りたいのであれば、大手から個人店まで様々な業者に査定をしてもらうことが大切です。

業者数はサイトによって異なりますが、一括査定サイトには数百~1,000件程度の業者が加盟しています。全国で中古車販売店を展開する大手企業から、地域密着型の個人販売店まで様々な業者の査定額を比較することが可能なため、高額査定をしてくれる業者が見つかりやすいです。

一度に複数業者へ依頼が可能

一括査定では、一度の申込みで複数の業者にまとめて査定依頼が可能です。中古車買取店はできるだけ安くクルマを仕入れ、高く転売することで利益を大きくしようとします。そのため最初の査定額提示で相場よりも安い金額が出されることも少なくありません

このような買い叩きを防ぐためには複数の査定額を比較することが大切です。また業者同士で査定額を競争させることで値段の引き上げ交渉も可能です。

複数の買取業者を一から探すのは非常に手間がかかりますので、適正価格でクルマを売却するためにも、まとめて複数業者に査定依頼が可能な一括査定サイトを是非利用してみてください。

出張査定に対応

一括査定サイトに登録している業者の多くは、自宅駐車場まで査定をしに来てくれる出張査定に対応しています。出張査定なら買取店にクルマを持ち込む必要がなく、自宅にいながら査定額を知ることが可能なため、代理人の負担も軽減されます。

また業者同士をバッティングさせることで、その場で価格を競い合ってもらうこともできます。事前に各業者に複数社を同時刻に呼んでいることを伝える必要はありますが、同時に査定をしてもらうことで値段交渉の手間を省くことが可能です。

一括査定なら業界大手のカーセンサーがオススメ!

どの一括査定サイトを選ぶか迷ったら、業界大手のカーセンサーをオススメします。

現在、様々な企業が提供する一括査定サービスですが、どのサイトを利用するかで重視して欲しいポイントは「業者数」「同時依頼可能数」「大手提携数」です。

業者数や同時依頼可能数が多いほど比較対象が増え、高額査定を出せる業者が見つかる可能性が高くなります。

また大手中古車販売店は、規模の小さな販売店と比べ自社販売が強く、転売ルートも多く確保しているため高額査定が出やすい傾向が。

カーセンサー一括査定では、1,000社以上の業者が登録しており、一度に最大30社に査定を依頼することが可能です。また8社の大手中古車買取店と提携を結んでいるため、高額査定を狙うためにも、ぜひカーセンサー一括査定を利用してみてください。

カーセンサー一括査定:https://kaitori.carsensor.net/

廃車費用が無料!古いクルマは廃車買取業者に依頼しよう

10年・10万キロを超えたような低年式・高走行距離車は、故障や不具合の可能性が高くなるため日本の中古車市場での需要が少なくなります。0円査定も珍しくなく、場合によっては廃車にかかる費用を請求されることも

そのため古いクルマやボロボロのクルマは、廃車買取を専門とする廃車買取業者に依頼することがオススメです。

他社で買取できなかったクルマでも買い取ってもらえる可能性がある

ディーラーや中古車販売店では、買い取ったクルマを中古車として転売することで利益を得ています。そのため、転売が難しい古いクルマや壊れたクルマには値段を付けられないことが多いです。

他社で買取ができなかったクルマは廃車買取業者に処分を依頼してみましょう。廃車買取業者は、中古車としての役目を終えたようなボロボロのクルマや、動かなくなったクルマの買取を専門としています。

廃車買取業者では、クルマを解体して素材を転売したり、古いクルマでも需要がある海外へ輸出するなど様々な転売ルートを使うことで、利益を出すことが可能です。そのため他社で0円査定をされたクルマにも値段が付くかもしれません

電話一本で契約完了

通常の中古車買取業者では、値決め前にクルマの状態を確認する査定が必要です。出張査定を使えば自宅で査定を受けることもできますが、業者との日程調整や査定のために予定を空けておくことを煩わしく感じる方も多いでしょう。

廃車買取業者なら、電話一本で申込みから値決め、契約までが完了します。申し込み後に廃車買取業者からかかってくる電話でクルマの情報を聞かれますので、事前に車検証やメンテナンスノートなど車両の状態がわかる書類を用意しておきましょう。早ければ30分~1時間程度で買取価格が提示されます。

廃車費用がかからない

ディーラーや中古車買取業者では、利益が見込めないクルマを引き取る場合、廃車費用をユーザーに請求することが多いです。

廃車には、クルマを移動する「レッカー代」、クルマを解体する「スクラップ費用」、書類手続きを代行する「手続き代行費用」などがかかります。クルマを売却したのに、お金を受け取ることができないどころか数万円を請求されることも。

廃車買取業者では、廃車にかかる費用が無料です。所有者の負担を少なくするためにも、処分にお金がかかると言われたクルマの引き取りは、ぜひ廃車買取業者に依頼してみてください。

廃車買取ならカーネクストがオススメ!

廃車買取ならカーネクストがオススメです。カーネクストでは古いクルマはもちろん、事故や故障などが原因で動かなくなってしまったクルマでも原則0円以上で買取を行っています。

また廃車買取の実績が多く、廃車処分に関する知識も豊富ですので、安心してクルマの処分を依頼することができます。

カーネクスト:https://carnext.jp/

成年後見人が代理で処分する際の注意点

成年後見人が、認知症の方が所有するクルマを代理で処分する場合は通常と異なり、他人の資産を処分するため注意が必要です。

代理でクルマを処分することが認められないケースもありますので、手続きを始める前に注意点を確認しておきましょう。

売買契約内容をしっかりと管理する必要がある

成年後見人は、対象者の財産を保護する立場となり、家庭裁判所から管理の記録の提出を求められることがあります

そのためクルマを処分した際の売買契約について、詳細に内容を記録し、適切に管理することが大切です。いつでも報告ができるようにしておきましょう。

高級車の場合は処分が認められないことも

所有者本人の生活費のための売却であれば、後見人が代理でクルマを処分することが可能ですが、生活費のための売却と認められない場合には処分ができないケースもあります

特に多いのがクルマの資産価値が高い場合です。認められなかった場合には家庭裁判所へ相談しましょう。

売却費用は所有者本人に受け取る権利がある

成年後見人は、本人が不利益な契約を結んだり、悪徳商法の被害に遭うことを防ぐために保護をする制度です。もちろんクルマを売却して得たお金は所有者本人のものとなります。

そのため、お金の受け取り口座は所有者本人のものを指定するようにしてください。

あらかじめ後見人が代理でクルマを売却することを伝えたほうが良い

クルマの売却はほとんどの場合、所有者本人が行います。後見人が代理でクルマを処分する場合には手続き内容や必要書類が通常と異なるため、時間がかかってしまうことも。

そのため査定申込み時などに、所有者本人が認知症で後見人が代理で売却をする予定であることを、買取業者に事前に伝えておいたほうがスムーズに手続きが進むでしょう。

Q&A

委任状があれば所有者が認知症のクルマを処分できる?

所有者が認知症の場合、正常な判断ができない状態だと判断されるため、委任状があったとしても第三者がクルマを処分することはできません。認知症の方が所有するクルマを処分するためには成年後見人を立てる必要があります。

成年後見制度とは?

認知症・知的障害・精神障害が原因で正常な判断ができない人が、不利な契約を結んでしまったり悪徳商法の被害に遭うことがないように、保護支援をする目的で作られた制度です。

成年後見人は誰がなれる?

被後見人の四親等以内の親族で、破産者や行方不明者など特別な理由がない人であれば申立てが可能で、成年後見人になるために特別な資格は必要ありません。ただし成年後見人になるためには家庭裁判所の審判を受ける必要があります。最近では司法書士や社会福祉士などの専門職に就く人が成年後見人になるケースが多いです。

成年後見人が代理でクルマを処分する場合に必要なものは?

印鑑証明書、後見人が与えられた権限が記載されている登記事項証明書が必要となります。また印鑑証明書の情報と本人の現住所・氏名が異なる場合には、住民票や戸籍附票、戸籍謄本が必要となります。

成年後見人を立ててもクルマを処分できないのはどんな場合?

成年後見人は被後見人の財産を守る立場にあり、代理でクルマを売却するためには「生活費のための売却」という理由が必要です。そのため売却金額が高額になる場合には、権限が認められないことがあります。権限が認められなかった時は家庭裁判所へ相談しましょう。

まとめ

認知症の方が所有するクルマを処分するためには、本人の財産や権利を守るための成年後見人を立てる必要があります。通常クルマの売却は委任状を用意することで代理人が手続きを行うことが可能ですが、所有者が認知症の場合は委任状が認められません。

成年後見人を立てるには、書類作成や診断、面談、審理など様々な手続きが必要で、申立てから3~6ヶ月程度の時間が必要。申立てには費用もかかりますので、ご家族としっかり相談することが大切です。

成年後見人と認められれば、登記事項証明書を用意することで、代理でクルマを処分することが可能です。被後見人の不利益とならないためにも、できるだけ高く処分できる方法を選びましょう。

また成年後見人になっても、生活費のための売却と認められなければ、代理人がクルマを処分することはできません。申立てや手続きが不安な場合には、弁護士や司法書士など専門職に就く方に相談してみることをオススメします。