新車の購入価格はカタログに記載された金額だと考えている方も少なくないのではないでしょうか。メーカーのホームページで見積もりをしても、金額を見て諦めてしまうという方もいらっしゃるでしょう。しかし、新車の購入時は、商談を経て値引きをしてもらえることが殆どです。交渉の仕方によっては、数十万円の値引きをしてもらえることも。新車の値引き交渉のコツや、避けるべきNG例を解説しますので、新車購入時の商談に役立ててみてください。
新車の純正オプション取付やコーティング業をしながら車専門のWebライターとして活動中。車好きで愛車のカスタムが趣味。車は6台目で、乗り換えの際は買取や個人売買を利用。現在は愛車のロードスターを長く綺麗に乗るためのメンテナンスに精を出している。
もくじ
新車を購入するときは値引き交渉をしないと損をする
新車購入をする際は、商談中に値引き交渉を行うべきです。新車購入の商談では値引きをしてもらえることが殆どで、日常的に値引きが行われています。値引きの目安額やどのような項目から値引きを引き出せるのかを知っておくことで、交渉事が苦手な方でも値引きをしてもらうことができます。
新車の値引きは「車体価格の10%」を目安にしよう
新車の値引き額は車体価格の10%を目安にしましょう。300万円の車体なら30万円、100万円の車体なら10万円前後です。ディーラーの利益分は車体価格の3割前後と言われています。そこから値引き可能な分を、販売店を運営する会社ごとに設定していることが多いです。
車体価格が高いクルマは10%以上引いてもらえることも
車体価格が600万円以上のクルマでは、10%以上である60万円以上の値引きができるケースもあります。利幅の多い高額車種は値引きを引き出しやすい傾向にあるので、高額なクルマの購入を考えている方は積極的に交渉を持ち掛けてみましょう。
車体価格が安いクルマはオプション装備に注目しよう
軽自動車やコンパクトカーは、もともと薄利多売で成り立つような価格設定となっており、利幅が少ないので車体価格からの値引きが難しいと言えます。車体価格から10%引いてもらえれば御の字なので、ディーラーオプション等と組み合わせて値引きを引き出す方法がお勧めです。車体価格からの値引きが難しいことも多いので、「用品10万円割引」などのキャンペーンを活用して、購入価格を抑える工夫をしてみましょう。
「代行手数料」も交渉材料になる
販売店が利益を取れる項目には「代行手数料」などがあります。車庫証明の発行などを代行する代わりに2~3万円を代行手数料として設定しています。車庫証明の発行手続きを自分で行うと、3~5千円ほどの手続き手数料だけで済みます。そこで、車庫証明を自分で行うことを条件に出して交渉してみるのも良いでしょう。代行手数料分を節約することで、2万円ほどの値引きにつなげることができます。
すぐに取り入れられる新車の値引き交渉のコツ6選
値引き交渉と聞くと、テクニックが必要だったり、話術が必要なのではないかと身構えてしまう方も少なくないでしょう。しかし、新車購入時の商談では、値引きが入ることが殆ど。むしろ、カタログ価格のまま購入する人の方が少ないと考えると、挑戦しやすいかもしれません。交渉事が苦手な人でも取り入れやすい、値引き交渉のコツを6つご紹介しますので、是非取り入れてみましょう。
- 目標の値引き金額を最初に提示する
- オプション装備を付けて値引きをしてもらう
- ディーラー加盟の任意保険やローン契約を検討する
- 店舗のセール時期を狙う
- 「今日決める」ことを伝える
- 見積もりの比較対象は別店舗の同じ車種にする
値引き交渉のコツ①目標の値引き金額を最初に提示する
意外かもしれませんが「このくらいの金額になれば決めてしまいたい」というゴール地点を先に示してしまうことは、その後の商談をスムーズに進めるために有効です。値引きの合格ラインを先にはっきりと伝えてしまうことで、営業マンに購入意思と値引き額が伝わります。その値引きが無理な場合は先に断られるので、自分にとっても相手にとっても無駄な交渉の時間を割く必要がなくなるので、お勧めです。
商談のゴールを先に伝えることで営業マンも話を進めやすくなる
値引きの目標金額を伝えると、営業マンは「この金額を値引ければ買ってもらえる。どのようにして値引きしようか」ということを考えながら商談を進めてくれます。目標金額だけでなく、具体的な理由を付け加えることで購入意思が伝わり、より値引きを引き出しやすくなるので、理由を必ず用意しておきましょう。
例えば、「安くなるなら買っても良いと思えるから30万円くらい値引いて欲しい」というのは、理由としては不十分です。「30万円引いてもらえれば、貯金から一括で購入できる」や「20万円ほど引いてもえらえれば現在の収入でも7年ローンで支払っていける」など、経済的な事情や家庭環境などを理由にすると良いでしょう。
最初から最大の値引きをしてもらうことが目的ではないので注意
値引きの目標金額を伝えることは重要ですが、伝えたからといって「じゃあその金額引くので買ってください」とはならないのが現実です。ただなんとなく「安くして欲しい」という漠然とした要求は、営業マン側もどこまで値引きすれば良いのか、値引きをしたら本当に買ってくれるのか、決断はいつになるのか、と値引きに踏み切れない原因を作ってしまいます。
営業マンとの人間関係の構築が定まらないうちには最大の値引きを引き出すのは難しいですし、購入意思がはっきりと見えない人に最大の値引きを出すこともありません。「なんとなく少しでも安くしてもらうため」の目標金額設定は無意味になるので、しっかりと購入を決断できる金額と理由を考えておきましょう。
値引き交渉のコツ②オプション装備を付けて値引きをしてもらう
目標の値引き額や最大の値引き額を引き出すには、車両本体のみの購入では難しいです。カーナビやドライブレコーダーなど、オプション装備の購入を含めた合計金額からの値引き交渉を行う方法がお勧めです。
値引きは車両本体だけでなくオプションからも可能
オプション装備を追加すると、メーカーオプションやディーラーオプションから値引きを行ってもらうことができます。メーカーや販売店を経営する会社が打ち出すキャンペーンによって、オプション品が特価になっていることも少なくありません。一部のオプション品は、ディーラーではなくオプション品のメーカーが値引きを行っているケースもあるので、値引きをしてもらいやすいポイントでもあります。特に、ディーラーオプションのカーナビを付けて値引きをしてもらう方法がお勧めです。
オプションを付けてもらい相対的に値引きしてもらう方法もお勧め
多くの方が購入するバイザーやフロアマットなどのベースセットを値引きしてもらう、販売店が指定するカーナビを購入する代わりに値引きしてもらう、などの方法で相対的に合計金額から値引きをしてもらう方法もお勧めです。なかでも、フィルムやコーティングは作業工賃が占める割合が大きいので、値引きをしてもらいやすいオプションとなっています。
値引き交渉のコツ③ディーラー加盟の任意保険やローン契約を検討する
ディーラーは、ローン契約や任意保険を提携している加盟店で加入してもらうことによって、手数料分の利益を得ることができます。加盟しているローン会社や保険会社のサービスに契約することで、値引き額の上乗せをしてもらえるケースがあるので、是非活用していきましょう。
ディーラーが提携する保険会社の任意保険に切り替える
任意保険は長年継続することで保険料が安くなるので、切り替えを行う決断をするのは難しいかもしれません。しかし、等級の引継ぎなどで保険料の上昇を抑えることができるので、必ずしも同じ保険会社を使い続けなくても良いこともあります。
保険料の安い通販型自動車保険よりも、ディーラーなどと提携する代理店型自動車保険のほうがサポート面での安心感が大きいというのは魅力です。保険内容の見直しや事故時の連絡など、全ての連絡や相談を担当者に行うことになるので、保険のことがよくわからない方や、事故対応に不安がある方は乗り換えてしまっても良いでしょう。
ディーラーが提携するローン会社でローンを組む
ローンでの支払いは、手元にまとまった資金がなくても高額なクルマを購入する手立てとなります。販売店やローン会社側にとっても、現金一括払いよりもローン契約での購入のほうが、手数料や利息が付くのでありがたいことです。
値引きのために利息の発生するローンを無理に組む必要はありませんが、値引きを引き出す方法として活用することができます。もともとローンで購入する予定の人は「銀行のオートローンを使うつもりだったが、そちらの提携ローンを利用するので値引きできないか」といった交渉をしてみるのも方法の一つです。
値引き交渉のコツ④店舗のセール時期を狙う
値引きを引き出すには、購入する時期も重要です。多くのディーラーで、年に数回大規模なセールを行う時期があるので、そのタイミングを狙いましょう。決算期と重なる3月および9月や、ボーナスと重なる6~7月および12~1月は、セールやキャンペーンを実施する店舗が多くなります。セール期は薄利多売となるディーラーが増えるので、値引きを引き出しやすいです。
値引き交渉のコツ⑤「今日決める」ことを伝える
値引き交渉を行っての新車購入は、購入の意思をはっきりと伝えることが大切です。購入時期が少し先になる場合は、その理由と購入がいつぐらいになるのかを伝えましょう。ディーラーや営業マンからすれば、購入意思が低い人に対して値引きを頑張る理由はありません。「今日、この商談で決めます」とはっきり購入意思を伝えてください。
値引き交渉のコツ⑥見積もりの比較対象は別店舗の同じ車種にする
複数店舗の見積もりを比較して、安いお店で購入するのも一つの手段です。見積もりを比較するときは「同じメーカーの同じ車種」で「運営会社の異なる販売店」という点に注意しましょう。
ライバル車種との比較は値引き交渉に持ち込みにくい
値引きを引き出すために、他社メーカーのライバル車種を引き合いに出す方法は、お勧めできません。例えば、トヨタの販売店で「VOXY」の商談を行いながら、「日産・セレナ」や「ホンダ・ステップワゴン」と迷っていると伝えても、性能や機能の違いは埋められないので、実はそれほど効果がないからです。
他メーカーのライバル車とは、価格設定はもちろん利益の割合や機能などが異なるため、比較対象とするには不向きです。メーカーや運営会社ごとに値引きの方針も異なるので、他メーカーとの競合は効果が薄いことを覚えておきましょう。
同じ車種で別の会社が運営する店舗で見積もり比較してもらおう
相見積もりによる値引き交渉を行う場合は、運営会社が異なる販売店で行う方法がお勧めです。
値引きの上限金額は運営会社によって異なります。相見積もりを使用した値引きを行う場合は、他店の見積もりを見せた上で「値引きの目標金額と理由」「はっきりとした購入意思」を伝えましょう。
新車の値引き交渉のNG事例3選
新車の値引き交渉は営業マンとの人間関係の構築、値引き額の目標金額とその理由、はっきりとした購入の意思表示が大切です。それらを考慮した上で、避けるべき対応方法を3つご紹介します。
NG事例①同じ会社が運営する店舗で見積もりを競合させる
相見積もりを使用した値引き交渉は有効となる場面もありますが、逆効果になってしまうこともあるので注意が必要です。同じメーカーの看板を掲げる販売店は、同じ市内などでも複数あります。しかし、同じ会社が運営するディーラー同士で他店の見積もりを提示しても、さらなる値引きが引き出せるとは限りません。
販売店には、メーカーと特約店契約を結んでいる「正規ディーラー」と特約店契約を結んでいない「サブディーラー」があります。正規ディーラー同士で相見積もりをする場合は、県をまたぐほどの移動をしないと別の会社が運営している店舗に辿り着くことが難しいので、お勧めできません。同じ市内であっても、正規ディーラーとサブディーラーで比較することで相見積もりによる値引き交渉がしやすくなります。相見積もりをする場合は、先に運営会社が異なるかを調べてから行うようにしましょう。
NG事例②横柄な態度での対応や責任者を出すよう要求する
営業マンとの値引き交渉は、商談にしっかりと向き合い、最低限の人間関係を構築してから行うようにしましょう。店に入るや否や他店の見積もりを提示して「お宅はどこまで引いてくれる?」といったような態度や、明らかに新人営業マンのようなスタッフに対応されて「お前じゃ話にならん!上を出せ!」といったような発言は、当然ながらNGです。
営業マンを味方につける、知人からディーラーを紹介してもらう等、人間関係や信頼関係を構築しやすい環境を整えることをお勧めします。ディーラーでの新車購入は、定期点検やメンテナンス、車検や保険の対応など、その後の付き合いにもつながるものです。「この人に買ってもらいたい」「この人のために値引きを頑張りたい」と思ってもらえるように、丁寧な対応を心がけましょう。
NG事例③長時間交渉を続けた後の結論の持ち越し
商談が佳境に来てもなお、結論を持ち越すというのはあまり良い結果につながらないことが多いです。「ここで決めてくれればあと〇万円頑張れます」というようなセリフが営業マンから出れば、それは限界が近い合図。欲を出してその見積もりを他店にもっていったり、結論を先延ばしにしても、それ以上の値引きが見込めることは少ないでしょう。「値引きの目標金額」と「今日決める意思」を伝えた上で、営業マンから上記のようなセリフが出たのであれば、それが上限値引きだと理解して決断してください。
少しでも安くクルマを買うなら下取りではなく買取を利用しよう
新車を安く購入することを目指すのであれば、今乗っているクルマを少しでも高く売ることで、値引き額を上乗せする以上に安く済ませられることがあります。クルマを手放す際は、ディーラーなどでの下取りではなく、買取に出すことがお勧めです。
クルマの下取り価格は低めな上に価格交渉が難しい
クルマの下取り価格は、年式と走行距離による時価評価額がベースとなっており、新車登録からの経過年数に応じて下がっていきます。10年も経ってしまえば、評価額は数万円程度にしかならない車種も多く、オプション装備やメンテナンス状況による加算評価も得られにくいのが、下取りのデメリットです。
新車から値引きできる金額には限りがあるので、どれだけ今のクルマを高く売却できるかによって、購入金額が左右されます。下取りは、車の購入と売却が同じ店舗で完結する手続きのシンプルさが魅力ですが、買取価格を高くする手立てがないに等しいので、お勧めできません。
下取り査定額と値引き金額を併せて提示された場合は損することがある
下取りのデメリットはもう一つあります。それは、下取りの金額と新車の値引き額を同時に伝えることによって金額を調整されてしまうことです。本来の下取り価格が20万円だったとしても、「下取りが10万円、値引きが10万円で合計20万円お値引きできます」という伝えられ方をしたら、そのまま納得してしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。さらなる値引き交渉を行っても、下取り価格の差額10万円を値引いてもらえたら満足してしまうでしょう。
クルマを売却する店舗と購入する店舗が別なら、それぞれに「もう少し高く売れないか」または「もう少し安く買えないか」という価格交渉を行うことができます。クルマの買取価格が高ければ、そのぶん次のクルマに回せるお金が増えるので、少しでも安く新車を購入したい方は、下取りではなく買取を利用しましょう。
クルマを少しでも高く売るなら一括査定の利用がお勧め
クルマの売却方法には、下取りや買取、個人間売買などがありますが、手続きや査定額の面で最も利用しやすいのは一括査定による買取です。一括査定は、一括査定サービスと提携する買取業者4~10社にクルマの情報などを送付して、買取査定を依頼できます。
一括査定は、たくさんの電話が来るイメージが強いですが、昨今ではメールのみでの連絡を選択することもできます。複数の店舗に査定をしてもらうことで、クルマの買取価格相場やどの店舗が高く買い取ってくれるのかを判断しやすく、下取りと買取では査定額に数十万円の差が付くことも多くあります。車体色や走行距離の少なさ、メンテナンス状況、使用感の状態、オプション装備なども、人気の条件と照らし合わせて加算評価してくれることがあるので、より高く売るための価格交渉も可能です。
少しでも高くクルマを売却することは、次のクルマを安く購入することにもつながります。下取りの利用を検討している方にも、買取業者の査定を受けてみることをお勧めします。
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まとめ
新車の値引き交渉は日常的に行われていることなので、値引きしないで購入するのは、むしろ損だと言えます。車体価格、オプション装備から値引きが行われるので、購入価格の10%を目標に交渉しましょう。値引き交渉のコツを取り入れると商談がスムーズに進みやすく、交渉力がない方でも簡単に取り入れられる方法が多いです。NG例のような行動をしないよう気を付け、少しでも安く新車を購入するために役立ててください。