クルマを下取りに出した後、諸事情によってキャンセルしたくなった。クルマの買い替えをする際に、そんなケースも起こりえるでしょう。
そもそも下取りがキャンセルできるかどうかは全てタイミング次第というのが結論です。まだクルマを引き渡していない段階であればキャンセルできる可能性は残されているので諦めないでください。
この記事では、クルマを下取りに出した後のキャンセルが可能なタイミングと、そうでないタイミングについて解説いたします。また、クルマの売買契約におけるトラブルを未然に防ぐための、事前に身につけておきたい予備知識についても触れております。
下取りに出した後にキャンセルしたい方や、これから下取りに出そうと検討されている方にとって、少しでも参考になりましたら幸いです。
カーデザイナーという夢を抱えたまま社会人となり、広告代理店で20数年勤めたあと50歳にしてフリーランスに。WRCに目がなくGT5の世界で腕を磨く日々。愛車遍歴のベスト3はEF7、ALFA159、直6のW201。ボールナットのフィーリングは格別でした。クルマ離れが叫ばれる中、一人でも多くの人にカーライフの魅力を伝えていきたいと思います。
クルマの下取り後でもタイミング次第でキャンセル可能!
下取りに出したクルマをどうしてもキャンセルしたい。その希望が叶うかどうかは全てタイミング次第です。
一刻も早く連絡をすることが最も大切ですが、ここではキャンセルが可能なタイミングと、そうでないタイミングについて解説してまいります。
売買契約書を交わした段階でもキャンセルできる可能性はある
ディーラーで新車を購入し納車されるまでの間、また、中古車販売店で中古車を購入し納車されるまでの間に、下取りに出すクルマをそのまま保有している場合はキャンセル可能です。
つまり、次の新しいクルマの売買契約書を交わした後でも、クルマを引き渡していなければ、基本的にキャンセルできるということ。
その根拠としては、クルマの契約成立時期については、自動車販売連合協会によって「自動車の登録がなされた日、注文により販売業者が修理・改造・架装などに着手した日、自動車の引き渡しがなされた日のいずれか早い日」と定められていることが挙げられます。
よって、売買契約書を交わした後でも、上記要件が満たされていない限り、契約が成立したとは認められないことからキャンセルができることになります。
但し、ディーラーや中古車販売店の契約や規約およびキャンセルポリシーによっては、キャンセル手数料などが発生する場合もあることは覚えておきましょう。
キャンセル料などの詳細はキャンセルポリシーをチェック
本来であれば、契約を交わす前にディーラーや中古車販売店のキャンセルポリシーを確認しておきたいところですが、なかなかそういう訳にもいかないでしょう。
下取りを出した後にキャンセルをしたいという場合は、まずキャンセル手数料や違約金に関する内容を必ずチェックしてください。
実際には、契約後のキャンセルが不可という買取店もあれば、クルマの引き渡し前まではキャンセル可能といった店舗もあります。また、キャンセルをした場合の違約金についても、費用が一切発生しないところもあれば、タイミングによっては発生するところもあり様々です。仮にキャンセル不可となっていても、一刻も早く連絡をして相談してみましょう。
新しいクルマの売買契約は解約せず下取りだけをキャンセルする
引き渡したクルマの買い手や転売先が未だ決まっていないことが条件になりますが、下取り用のクルマをすでに引き渡してしまった場合でも、新車を購入した場合や中古車を購入したいずれの場合も、購入したクルマの売買契約を解約せずに下取りだけをキャンセルするということであれば、引き受けてくれる可能性はあります。
但し、購入したクルマの売買契約時にローンを組んだ場合は、下取り価格を値引きに充当していることによってローン会社により契約書の書き換えなどが発生することから、その手続きそのものが可能かどうかという問題が出てきます。また、前述の通り、クルマを引き渡した時点で、正式に売買契約が成立することから、キャンセルに伴う手数料や違約金などが発生しないとも限りません。丁重な姿勢で相談してみると良いでしょう。
クルマ下取りキャンセルは難しい3つのケース
キャンセルできる可能性がタイミング次第であれば、NGになるのもタイミング次第になります。キャンセルになる主な要件としては、次の3つが挙げられます。
- 次の買い手や販売先が決まっている場合
- 名義変更などクルマの登録手続きがなされた場合
- 下取りのクルマが修理・改造・架装を施された場合
ケース1:次の買い手や販売先が決まっている場合
下取りに出したクルマが、すでに次の買い手や販売先が決まっている場合は、当然キャンセルできないものと考えるべきでしょう。たとえ、クルマを下取りしたディーラーや中古車販売店が、次の買い手や販売先との間で正式なクルマの売買契約が未だ成立していなかったとしても、それを事実確認し追求することは非現実的ですから、諦めるしかほかありません。ただ、いずれにしても、買い手や販売先が決まってしまったかどうかは、直接問い合わせてみないと分からないため、速やかに連絡をして確認しましょう。
ケース2:名義変更などクルマの登録手続きがなされた場合
下取りに出したクルマの買い手や販売先が決まり、名義変更などの登録手続きが完了している場合は、当然キャンセルを受け付けてもらえません。下取りに出して早々に次のクルマの売却先が見つかるかどうかは、下取りに出したクルマの需要と供給のバランスによります。個人的な過去の一例としまして、売却したクルマが2日後には中古車情報に掲載され、3日後には購入者が現れたこともあります。そのような事例もありますので、下取りに出して数日も経過すると、キャンセルするのは不可能になることが十分考えられます。繰り返しになりますが、キャンセルをしたいと思ったら、一刻も早く連絡を入れましょう。
ケース3:下取りのクルマが修理・改造・架装を施された場合
下取りに出したクルマが、すでにディーラーや中古車販売店によって、修理・改造・架装を施された場合も、当然キャンセルすることはできません。こうなると、もはやそのクルマを買い戻すしかありません。ちなみに、架装とはクルマに部品や装置を取り付けることを言い、修理や改造などの手を加えられたクルマは、キャンセルできないということになります。クルマの状態にもよりますが、下取りしたクルマは販売するための準備として、費用をかけて修理などを施すため、手を加えられる前にキャンセルする必要があります。
どうしても下取りをキャンセルしたい場合は違約金を支払う!?
下取りに出したクルマをキャンセルするといっても、その理由は人によって様々だと思います。そのため、違約金を支払ってでもキャンセルしたいという方も、なかにはいるかもしれません。とはいえ、当然のことながら、違約金を支払ったとしても、タイミングによってはキャンセルが叶わないケースはあるものと推測できます。しかし、ディーラーや中古車販売店や次の買い手や販売先が、損害を被らないだけの違約金を支払うことで、キャンセル対応してくれる可能性が全くないとも言い切れません。
また、本来であれば不可能なはずのキャンセルに対して、快く対応してくれるかどうかは、その理由の内容にもよるでしょう。悪い事例としては、単に下取りした後に高値査定を提示してきた買取店があったからという理由では、まかり通らないと思われます。むしろ、こういった理由であれば伏せておくべきでしょう。さらに悪い事例としては、申し出るタイミングが遅くなったせいでキャンセル対応してもらえなくて、それでも違約金やキャンセル手数料は支払いたくないから、なんとかキャンセルして欲しい、などという身勝手な言い分が理由として認めらるとは思えません。このような場合、今回は潔く諦めて自分を戒めながら、次回のクルマ売却の際の糧にしましょう。
契約に関する予備知識を身につけてトラブルを未然に防ぐ
クルマの売買には必ず契約という言葉がついて回ります。ただ、この契約という言葉が民法上で定義づけられていることは知っていても、法律の勉強でもしていない限り、条文には書かれていない本質を理解されていない方がいるのも当然です。
また、クルマの世界にはクルマならではの売買契約ルールというものも存在しますが、これについても知らないのが普通です。ただ、折角ですので、トラブルを未然に防ぐためにも、この機会にクルマの売買契約に関する知識をしっかり身につけておきましょう。
口約束は契約になる?
契約については、民法の第522条で「1.契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示に対して相手方が許諾したときに成立する。2.契約の成立には、法令の特別の定めがある場合を除き、書面の作成やその他の方式を具備することを要しない」となっており、必ずしも書面を交わす必要がなく、口約束でも契約は成立することを意味しています。
冒頭でも前述しましたが、クルマの売買においては、クルマならではのルールがあります。一般社団法人日本自動車販売協会連合会と一般社団法人日本中古自動車販売協会連合会によると、クルマの契約成立時期について「自動車の登録がなされた日、注文により販売業者が修理・改造・架装などに着手した日、自動車の引き渡しがなされた日のいずれか早い日」とされています。
つまり、中古車の売買においては、これらの要件を満していない限り契約が成立していないことになります。ただ、たとえ口約束でも、上記要件のいずれかを満たせば契約は成立することになります。
二重契約はご法度である
二重契約という字面からも、概ね想像がつくかと思いますが、クルマの売買では時々登場する言葉です。ディーラーや中古車店で下取りの契約をした後に、解約をしないまま他の買取店で新たな契約をしてしまうケースがあります。これは、下取りの契約をした後に、下取り価格よりも高値でクルマを買取ってくれる買取店が現れたときに往々にしてそのようなことが起こります。これが二重契約の発端です。
クルマを引き渡す前だからキャンセルができるものと安易に判断して、下取りをしてもらったディーラーや中古車販売店と買取店の双方に迷惑を掛けるだけでなく、キャンセル料を請求されるといった大きなトラブルに発展しかねません。このようなことが起こらないように、憶測や勝手な判断によって二重契約にならないように心掛けましょう。
解約してから新たな契約を結ぶことが大前提
下取りに出したクルマを別の買取店で新たに売買契約をしてしまうといった二重契約を避けるには、下取りの契約を解約してから、新たな契約をすることが大前提になります。もし、下取りを出した後に別の買取店から高い査定額を提示され、どうしても新たに契約を結びたいときは、必ず下取りに出したディーラーや中古車販売店の契約書の規約やキャンセルポリシーに目を通すことが先決です。
仮にキャンセルが不可となっていた場合でも、タイミングによってはキャンセルを受け付けてくれる可能性もありますので、一度、ディーラーまたは中古車販売店にキャンセルできないか相談するようにしましょう。
クルマの売買契約にクーリングオフは適用されない
一般的に、一度成立した契約は一方的に解除することはできませんが、電話での販売や不意打ちによる販売によって、冷静な判断ができない状況下で交わした契約については、契約書を受け取ってから一定期間内であれば無条件で契約の解除をすることができるクーリングオフという制度があります。
一方、クルマの売買契約についてクーリングオフは適用されません。これは、先ほどお伝えしたような電話での販売や不意打ちによる販売と異なり、慎重に検討をした上で売買が行われるからです。よって、クルマの売買契約においてクーリングオフが適用されない以上、署名押印には特別な慎重さが求められ、生半可な気持ちで契約をしてはならないということになります。
最初に買取査定をして下取り価格と比較するのがベスト
クルマを買い替える場合、買取と下取りの大きく2種類の売却方法があります。特に次のクルマを購入するディーラーや中古車店で下取りに出す場合は、まず買取店で査定をしてもらって、提示された査定価格を下取り価格と比較することをお勧めいたします。
そうすることで、下取りの契約後に、新たな買取店から査定価格を提示されるような場面に遭遇することもなく、下取りをキャンセルするといったようなことが起こることもありません。
ここでは、クルマを下取りに出す前のステップとして、一括査定や買取オークションの他、値が付かなかった場合のために廃車専門店による売却方法についても解説いたします。
クルマの買い替えの基本。まずは一括査定で査定価格を比較
クルマを買い替える際、次のクルマの購入費用の負担を少しでも減らすために、できるだけ高値で売却したいと思うのは当然です。それを叶えるためには、少しでも多くの買取店に査定をしてもらって、複数の査定価格を比較することが不可欠になります。
これだけ聞くと、面倒そうと思うかもしれませんが全く逆です。たった1回のネット申込で、複数の買取店に査定依頼ができ、無料で自宅や希望する場所まで出張査定に来てくれます。査定価格に満足できなければ売却しなくてもOKです。
まずはクルマの一括査定を利用して複数の買取価格をチェックしてから、ディーラーの下取り価格を比較することが、クルマを買い替える際の基本となります。
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一括査定で満足できなければクルマ買取オークション
もし、一括査定で納得のいく査定価格が提示されなかった場合は、クルマ買取オークションを利用するのも一つの方法です。クルマ買取オークションは、その名の通りクルマをオークションに出品して、興味をもった買取店や個人の方に入札してもらうサービスです。査定は仲介業者による1度だけになりますので、煩わしい電話営業がないところも魅力です。査定の結果を基に提携している全国の買取店が落札を競い合うことで、車種によっては高値落札も期待できます。
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ディーラーで値が付かなくても廃車専門店なら値が付く可能性大
走行距離が10km以上の過走行車や年式の古いクルマの場合は、一括査定でもオークションでも全く値が付かないケースもあります。だからといって、次のクルマを購入するディーラーや中古車買取店に、無償で引き取ってもらってはいけません。
値が付かなかった場合は、最終手段として廃車専門店にクルマを持ち込んで売却することをお勧めいたします。たとえ売却するクルマが不動車であっても、部品やパーツを販売することを生業としている廃車専門店なら、廃車処分の費用を請求されることなく買取ってもらえます。また、売却する時期によっては、1年分を先払いしている自動車税ならびリサイクル料金の他、永久抹消して廃車にした場合は自動車重量税と自賠責保険料ついては還付を受けられます。
業者名 | 対応地域 | 申し込み方法 | 買取保証 | キャンセル料 | 特徴 |
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廃車本舗 | 全国 | WEB 電話 |
- | 3万円 | 海外販路に強い 解体工場保有 |
廃車王 | 全国 | WEB 電話 LINE |
原則0円以上 | なし | 創業30年キャンペーン実施中 |
カーネクスト | 全国 | WEB 電話 |
0円以上保証 | 3万円 | 実績トップクラス |
カービュー事故車買取 | 全国 | WEB | 買取業者による | 買取業者による | 一括査定形式のサービス |
ハイシャル | 全国 | WEB 電話 LINE |
0円以上保証 | 要相談 | 2019年の相談実績65,000件 |
事故車買取のタウ | 全国 | WEB 電話 |
0円以上保証 | 成約金額の10% | 事故車の高価買取を実現 |
ENG | 全国 | WEB 電話 |
- | 要相談 | 特定の車種の輸出を得意とする |
※廃車買取業車については「廃車買取のおすすめ業者7選!中古車買取との違いと処分費用のメリットを詳しく解説!」で詳しく解説しています。合わせてこちらの記事もご覧ください。
廃車買取のおすすめ業者7選!中古車買取との違いと処分費用のメリットを詳しく解説!輸入車なら系列の中古車専門店へ持ち込み査定するのも良し
もし、売却するクルマが輸入車なら、メーカー系列の輸入車専門の中古車店へクルマを持ち込んで査定してもらうのも一つの方法です。前述の通り、クルマを少しでも高く買取ってもらうために不可欠なこととして、複数の買取店に査定してもらうことを挙げましたが、もう一つ、クルマの価値を最もよく理解している買取店に査定してもらうことも重要なポイントになります。専門店のように特定のクルマに詳しければ詳しいほど、そのクルマを売る術も知り得ていることから、高値で買取ってくれる可能性があります。
まとめ
下取り後にキャンセルをする理由は人によって様々だと思いますが、対応してもらえるかどうかは、全てタイミング次第です。とにかく、キャンセルを思い立ったら、取引先のディーラーや中古車販売店に極力迷惑を掛けないためにも、一刻も早く、ディーラーや中古車販売店にキャンセルを申し出ることが先決です。
もし、キャンセルすることができたなら、一括査定などを利用して売却のための正しいステップを踏むことも大切です。そして、少しでも高値売却を勝ち取り、新しいクルマを購入する負担を減らせるように努めましょう。