全損車からの買い替え費用を捻出するには、保険に加入していれば車両保険で資金が調達できます。事故が起きたときに相手が自動車保険に加入していれば、相手の保険で買い替えの資金を調達できます。
しかし、保険に加入していない場合や、事故でなくエンジンなどの機関の故障で全損となった場合は、自分で買取専門店に相談し買い替えの資金を確保する方法も考えられます。
この記事では、全損車からお得に新しいクルマに買い替えるために、保険を使う方法と買取に出す方法を詳しく解説します。
自動車鈑金工場で高卒から10年ほど修行し、その後独立して自分の自動車鈑金工場を設立。中古車の粗悪さが許せず、中古車買取と鈑金修理を一つにしようとオークションに出入り。普通のクルマだけでなく修復歴車を落札して修理し直して販売や事故車を修復する仕事を20年程度行う。現在は財経新聞などにも記事提供を行うクルマ専門ライターとして活動中。
全損車からお得に買い替えられるおすすめの方法3つ
クルマが全損と判断される状態には、事故や故障などさまざまな要因があります。しかし全損車はいずれも修理不可能なので、クルマが必要であれば買い替えを選択するしか方法がないと言えます。
全損車の買い替えには以下の3つの方法がおすすめです。
- 車両保険を使い買い替える方法
- 対物補償保険で全損車から買い替える方法
- 全損車を売却して買い替え資金にする方法
①車両保険を使い買い替える方法
自分の不注意による事故やイタズラ、自然災害による冠水などで全損車となった場合、自動車保険の車両保険特約に加入していれば、車両保険を使用して買い換えを行うのが得策です。
車両保険を使えば次に購入するクルマの大きな資金に
車両保険は、乗っていたクルマが全損となった時点の時価額で保険が支払われるので、数十万円から場合によっては100万円以上のお金を手に入れられます。
車両保険を使用すると翌年の保険料が上がることから利用をためらう人もいますが、等級を下げてでも保険金をもらったほうが得であることがほとんどでしょうから、この時こそ車両保険を使ってください。
ただし、買い替えるクルマの資金を補償してもらえるわけではないので注意してください。あくまでも補償対象は今まで乗っていた全損車ですので、クルマが古ければ補償額も少なくなることは覚えておきましょう。
新車特約を付帯していれば新車購入の全額が補償される
さらに、新車特約を付帯している場合は今乗っているクルマの新車購入費用まで補償してもらえます。
車両保険は全損となった時点での時価額が補償されるので、新車で購入したときの金額全てを貰えるわけではありません。これをカバーするのが新車特約です。新車特約を付帯すれば、新車で購入したときに支払った金額全てを補償されるので、全損となってもすぐに新しいクルマの手配が簡単にできる特徴があります。
新車特約が適用される事例は、車両保険の上限を上回る損傷となった場合、新車価格の50%以上の修理費用が必要となった場合、全損車として走行不能となった場合です。
ただし新車価格の50%以上の修理費用がかかる見積もりが出たとしても、走行装置やエンジン、シャシー(フレーム構造)といったクルマの構造部分に大きな影響がない場合で、外板パーツ部分のみで50%を超える修理費用が発生したときは、新車特約が適用にならないことがほとんどですので、ご注意ください。
新車特約を使えるかどうかは、一度ご加入の保険会社や代理店に確認をとるようにしましょう。
車両保険の補償額は全損車の時価総額分であることに注意
車両保険で、全損車の補償は時価額分と決まっています。そのため中古車市場で人気があり200万円で販売されていても、車両保険の時価額が100万円であれば、それ以上は補償されないということです。
特に注意を要するのは、古いプレミアムカーを購入した場合です。この場合は特に保険会社に届出をしなければ、全損であっても20万円しか補償されません。例えば、古いクルマのレストア(クルマの復元)費用に300万円を費やしていても補償されません。
車両保険は毎年一定の割合で減価償却されている
車両保険で支払われる保険料の割合ですが、毎年一定の割合で減価償却されます。そのため、今年は300万円の車両保険が付帯されていても、翌年は240万円になってしまうことも少なくありません。
実際に、おおよそ1年で20%近く減価償却されていますから、新車で購入しても、年数が経つと思いもよらないペースで車両保険の評価額は下がっています。
経過年数 | 減価償却後の価格(新車価格が300万円の場合) |
---|---|
1年後 | 約240万円 |
2年後 | 約192万円 |
3年後 | 約154万円 |
さらに、自分のクルマが中古車市場で人気があると知れば、全損となったときに市場価格に沿った車両保険が支払われると思い込んでいる人も少なくありません。しかし実際は、1年ごとの減価償却でクルマの評価額が決められているので、市場で人気があっても考慮されません。
そのため、全損車が中古車市場でプレミアムが付く人気車であっても、車両保険は時価額で判断されるので、思いのほか安い補償金額が普通です。
つまり、車両保険を使うべき人は、新車購入から3年以内などクルマの時価総額が落ちきっておらず、それなりに高い保険金がもらえる場合ということ。
もし車両保険をつけていても高い保険金が降りない場合は、次に紹介する相手の対物補償保険で賠償してもらう方法や、廃車買取または事故車買取に相談し全損車を売却する方法も、検討してみましょう。
②対物補償保険で全損車から買い替える方法
クルマを運転していれば、相手のクルマとの衝突で全損となることもあるでしょう。その場合に相手のクルマが自動車保険に加入していれば、対物補償保険で買い替えの資金を用意することができます。
対物補償保険にも補償範囲が決められているので、その範囲内での補償となります。そのため全損被害を受けても、被害者の要望を全て叶えるものではありません。
相手が自動車保険に加入していることが条件
対物補償保険で全損車から買い替えるには、相手のクルマが自動車保険(任意保険)に加入していることが最低限の条件です。そして、保険を支払うための要件を相手方のドライバーと、被害者のドライバーが満たしていることも条件です。
対物補償保険は、数千万円から無制限補償まで保険会社で用意されていますが、この保険は他人のモノに損害を与えたときに損害賠償するための保険です。そのため、相手の責任においてこちらのクルマが全損となった場合、こちらのクルマの時価額で補償されます。
この時価額は、車両保険の時と考え方は同じで、どの保険会社でも同じクルマであれば同じ補償金額が支払われるよう決まっています。
事故の比率により対物保険は100%補償されない
ここで一つ注意しなければならないのは、相手がある事故は(特に自分のクルマも動いているような状態での事故は)過失割合によって補償額が減る可能性があるということ。
過失割合とは、発生した交通事故の原因となる責任の割合のことです。例えば相手の過失が80%あれば、こちらは20%ということになり、100万円の全損費用が支払われると決まった場合、相手からは80万円しか対物補償保険で支払われないということになります。
全損したクルマの補償に相手との事故の割合など不公平に感じるかもしれませんが、これは事故の原因がどちらにどの程度過失があったかが重要で、クルマの損傷の程度で割合が決まるものではないことを覚えておきましょう。
このように事故には過失割合があり、自分にも過失があると対物補償保険は過失分を指しい引いた分しか支払われないことを覚えておいてください。
ただし、自分が車両保険に加入していれば、残りの20万円は自分の車両保険で補填される形になります。保険に加入さえしていれば実費で20万円を用意する必要はなく、全て保険で100万円を用意できるので、等級ダウンのデメリットと天秤にかけ、保険を使うかどうかを決めましょう。
③全損車を売却して買い替え資金にする方法
最後は、全損車を売却して購入資金に充てる方法です。
自損事故で全損となった場合、車両保険に加入していなければ保険で補償は受けられません。そのため、全損車は自分で処分する必要があります。
全損車は、簡単に言えば廃車ですから、一般的に処分するとなれば廃車費用がかかります。しかし、廃車費用を一切かけずに、しかも全損車を現金に換える方法があります。それが廃車買取や事故車買取といった専門業者を利用する方法です。
全損車でも廃車買取や事故車買取なら現金化できる
全損車を現金化する方法は、廃車買取専門店や事故車買取専門店に相談することです。
廃車買取のおすすめ業者7選!中古車買取との違いと処分費用のメリットを詳しく解説!全損車なんて商品として価値がないと思う人も多いでしょうが、パーツごとに分解すれば中古部品として価値が生まれるため、現在多くの廃車買取や事故車買取では全損車の買取を行っています。
全損車の中でも、クルマの特徴に合わせて流通経路が異なります。特に多いのが海外への輸出です。そのままクルマを再生させるために輸出される場合や、海外でパーツ販売されるために輸出される場合があります。
そのため、クルマの状態により廃車買取専門店などを選ぶことで、意外な高値で全損車を売却できる場合もあります。
さらに廃車買取専門業者に相談すれば、動かなくなったどんなクルマでも買取してもらえる可能性があります。しかも、面倒な書類上の手続きも無料代行してもらえ、税金の還付請求について詳しくレクチャーを受けられる店舗がほとんどです。
どれくらいの値段で売れるかどうかは実際に査定をとってみなければわかりませんので、少しでも売却をお考えの方は積極的に査定してみることを推奨します。現在はオンライン査定を行なっている業者もいますので、気軽に査定申し込みをしてみましょう。
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お得に売りたいならできるだけ多くの買取業者で査定をとろう
全損車は、どこの買取店でも同じ金額で買い取るわけではありません。それは、全損の原因にもよりますし、クルマの車種も大いに関係するからです。ですから、できるだけ多くの買取業車で査定をとってもらうことが高価売却の秘訣です。
例えば、事故車と水没車とでは使用できる部品が大きく異なります。もちろん使える部品が多ければ部品として流通させられるので、高く買取してもらえる可能性は高いです。
具体的には、エンジンや駆動系(エンジンの動力伝達装置部分)に大きな問題がなければ、ボディーが大きく損傷していても、海外で高く取引されます。特に後ろからの追突により全損となった車両は、意外な高値で買い取ってもらえることも。
また、水没車の程度によっては、諸外国ではそのまま商品として流通されることもあるため、水没車の全損なのに意外な価格で取引されることも少なくありません。
しかし、同じようにエンジンや駆動系に問題がない側面衝突での全損車は、修復に高い技術が必要なことから、海外では人気がほとんどありません。ただし、部品として流通させられるので、廃車買取などで買取してもらうことは可能です。
また、国内需要が高いクルマと海外需要の高いクルマを比較しても、廃車買取価格は大きく変わります。というのも、国内のみでしか流通していない車種は、海外で中古パーツを販売できないので、それだけ販売ルートが狭まることから買取価格は安くなりがちです。
このほか、国内でも人気のあるSUVやミニバン、そして軽自動車の全損車は、他の車種に比べて高値で買取してもらえる可能性が高いでしょう。
どこで高く買取してもらえるかは、クルマの人気によって違います。買取店での得意な分野も関係するので、多くの買取専門店に相談することが重要です。
このように、クルマの状態によって買取業者も得意分野があるので、廃車買取や事故車買取も多くの店舗に相談することがお得に売却するポイントです。
ネットでも査定申し込みできる廃車買取業車は多数ありますので、ぜひ一度オンライン査定をとってみてください。もしかすると意外な価格がつくかもしれません。
以下に主な廃車買取店を記載しておくので、複数業者への査定依頼申し込みに役立ててください。
業者名 | 対応地域 | 申し込み方法 | 買取保証 | キャンセル料 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
廃車本舗 | 全国 | WEB 電話 |
- | 3万円 | 海外販路に強い 解体工場保有 |
廃車王 | 全国 | WEB 電話 LINE |
原則0円以上 | なし | 創業30年キャンペーン実施中 |
カーネクスト | 全国 | WEB 電話 |
0円以上保証 | 3万円 | 実績トップクラス |
カービュー事故車買取 | 全国 | WEB | 買取業者による | 買取業者による | 一括査定形式のサービス |
ハイシャル | 全国 | WEB 電話 LINE |
0円以上保証 | 要相談 | 2019年の相談実績65,000件 |
事故車買取のタウ | 全国 | WEB 電話 |
0円以上保証 | 成約金額の10% | 事故車の高価買取を実現 |
ENG | 全国 | WEB 電話 |
- | 要相談 | 特定の車種の輸出を得意とする |
※全損車を売却する方法については「全損車も売れるって知ってた?どれくらいの査定額がつくのか事故車修理のプロが経験談をもとに解説!」で詳しく解説しています。合わせてこちらの記事もご覧ください。
全損車も売れるって知ってた?どれくらいの査定額がつくのか事故車修理のプロが経験談をもとに解説!全損車を買い替えるなら覚えておきたいお得な処分方法2つ
全損車は、そのままでは乗り続けることができないので、なんらかの方法でクルマを処分する必要があります。しかし、処分方法を間違えると全損車からの乗り換えに多くの資金が必要となるなど、デメリットにつながり兼ねません。
全損車をお得に処分するには、以下の2つの方法が挙げられます。
- 中古車店でクルマを購入して無料で処分してもらう方法
- 整備工場で全損車から買い替えて廃車手数料を無料にしてもらう方法
①中古車店でクルマを購入して無料で処分してもらう方法
全損車の処分先として、クルマの販売店が挙げられます。その中で中古車販売店に相談すると、中古車の買い換えを条件に全損車の廃車処分料を請求しないといった優遇を受けられることがあります。
全損車の処分には、一般的に廃車処分として解体費用などがかかりますが、これらの手数料を中古車店で請求しないというホスピタリティは、古くから交流があると待遇が良くなります。
中古車店と交流があれば全損車は中古車店に任せるとかなりお得になる
中古車店で全損車から乗り換えを約束すれば、全損車を無料で引き取り廃車処分してもらえることが多くあります。さらに、中古車店と交流があれば、全損車を売ることができるほか、買い替えるクルマからの値引きも期待できます。
中古車販売店では、一般的に中古車のみ販売していると思われがちですが、実際の業務は買取したクルマの販売やクルマの修理など、クルマに関する業務は一通りこなせる仕組みです。
というのも、クルマ業界は横のつながりがあるため、中古車店と廃車買取店は繋がっていることが少なくないからです。
また、中古車販売店も大手業者オークションに出入りしているので、そのオークションに全損車を出品して利益を出している店舗も少なくありません。
このように、全損車を処分して買い替えを選択しているならば、中古車店で全てを任せることも視野に入れても良いでしょう。
②整備工場で全損車から買い替えて廃車手数料を無料にしてもらう方法
クルマが故障したり破損したりして全損車となれば、クルマの処分に整備工場を選ぶ人も多いのではないでしょうか。
整備工場では、クルマの修理を主に行っているので、クルマの修理が可能かどうか判断することに優れていると言えます。
そのため、整備工場にクルマを預けて全損車にしたほうが良いと言われた場合は、素直に従ったほうが無難と言えます。それは、修理を選択しても高額な修理費用がかかることや、元通りに修復することが極めて困難と考えられているからです。
修理工場は、クルマの修理をするだけではありません。クルマの販売も行っており、ユーザーが中古車店や新車ディーラーで欲しいクルマがあれば、そのお店からユーザーの欲しいクルマを引っ張ってきて販売してもらえます。
また、全損車も修理ができなければ、解体業者に引き取り処分してもらうことも業務の一環として行っているので、全損車処分には困ることがありません。
そして最近では、整備工場と古くから付き合いのある解体工場が、大手廃車買取業者と業務提携を行っていることも少なくなく、廃車処分費用の請求無しで全損車処分の請け負い業務を行っている整備工場もあります。
整備工場は廃車買取業者と繋がりがあることが多いので処分料はかからない
整備工場が、廃車買取業者とつながりがある理由の一つとして、クルマ業界の横のつながりの広さが挙げられます。
整備工場では、クルマの部品を交換すると、故障した部品はスクラップ工場に引き取ってもらいます。このスクラップ工場は全損車の解体業務も行っており、古くから整備工場で手に負えなくなった故障車などは、スクラップ工場に引き取ってもらっていました。
そして、時代と共にスクラップするクルマの中古パーツとして流通できるシステムが構築されると、スクラップ工場もシステムの中に組み込まれるようになります。
よって今では、古くはスクラップ工場だった店舗が、大手廃車買取業者と提携するようになり、全損車の買取ができるようになりました。ただし、窓口は大手廃車買取業者であり、スクラップ工場は全損車の引き取り業者にすぎません。
ご自身でも廃車買取業車への処分は申し込めますので、オンライン申し込みなどを利用して全損車の処分をお願いしましょう。
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全損車の定義はクルマの修理が不可能と判断されたとき
全損車は、使えなくなったクルマということを理解している人がほとんどでしょう。たしかに全損車は使えなくなったクルマですが、その理由には物理的に修理が不可能な場合と、経済的に修復が不可能な場合の2種類に分かれます。
また、全損車として判断する場合は、事故車は保険会社が主導で行うことが多くなりますが、クルマのエンジンなどの部品が故障して全損となる場合は、整備工場とユーザーとの話し合いで全損車となることがほとんどです。
全損車と決めるのは保険会社がほとんど
大きな事故が起きればクルマの損傷も激しくなり、見た目にも全損と判断されたのは少し前までの話です。
現在は多くの電子デバイスがクルマに装備され、クルマが一度衝突すると高額な修理費用が発生することがほとんどです。しかも見た目には、昔の衝突事故ほど大破していなくても、それ以上の修理費用がかかることも珍しくなくなりました。
どれくらい部品交換に費用がかかるのかは、整備工場でも算出はできますが、保険を使用して修理をするとなれば、時価額との兼ね合いが重要となります。
そこで、出番となるのが保険会社の修理査定です。この査定金額が時価額を上回るようであれば全損車として判断されます。
そのため、新しいクルマであれば時価額が高額なので、よほどの大きな事故でない限り全損となることはありません。しかし古くなったクルマの場合は、時価額が安くなっているので簡単に修理費用が時価額を上回ることが少なくありません。これが経済的全損です。
このように、保険会社はクルマの修理費用を算出して時価額と照らし合わせて全損車にするか判断しています。
全損車に保険会社がかかわると修理工場は保険会社の指示に従うのが基本
保険会社が全損車と認定するクルマを、整備工場は修理可能とすることも多くあります。しかし修理費用は、保険会社が全損車の場合に支払う金額しか補償されません。よって、整備工場がどんなに修理できるといっても、保険以上の修理費用は実費となります。
そのため整備工場では、オーナーに余計な出費が発生しないためにも、保険会社が全損車と認定すれば修理を提案することはなく、保険会社と同じく全損車にすることを提案します。
修理工場で修理不能といわれても全損車
保険に加入していない場合の事故車や、クルマの機関の故障では、修理工場がクルマの修理費用を算出して全損車にすべきかどうか判断します。
特に事故車の場合は、クルマを修復する費用をオーナーが用意できても、安全にクルマを走らせられるように修復できなければ全損車として判断され、オーナーは諦めるしかありません。
このほか、エンジンやトランスミッション(エンジンの動力をタイヤに伝達する装置)といった大きな部品が故障すると、修理費用は高額になります。
もちろん、エンジンやトランスミッションの故障も修理は可能ですが、エンジンやトランスミッションが故障するクルマは、それなりに年式が古く、しかも走行距離は多いのが普通でしょう。そのため、修理工場から修理より全損を提案されることが多く見られます。
全損車の判断は最終的にはオーナー自身
全損車の判断は、保険会社や整備工場が助言として行うだけです。決定権はオーナー自身にあることを忘れてはいけません。
そのため、どうしても修理して乗り続けたいのであれば、保険会社も修理工場も止めることはしません。ただし修理後に、どの程度使用できるのか、そして使い続けるクルマなのかを考えてオーナーは判断することが重要です。
その判断が難しいがゆえに、プロとして保険会社や整備工場では全損車として認定していますから、よほど思い入れのあるクルマでない限り、プロの判断に従ったほうが良いでしょう。
まとめ
全損車を買い替えるには、保険の補償で買い替えの資金にする方法と、自分で全損車を廃車買取店などの買取専門店に売却して買い替える方法の2種類があります。
全損車を処分する廃車買取業者は一店舗だけでなく、数店舗に相談すると良いでしょう。それは、クルマの状態やクルマの人気度で廃車買取業者の得意とする流通ルートが変わるからです。
また、自動車保険の使用に慎重になっている人が多くいますが、全損車となった時こそ保険を使用して、全損車から買い替えるのがお得と言えるでしょう。