ガソリンスタンドの1万円保証廃車買取は本当にお得？メリット・デメリットを解説！

どんなに古くボロボロなクルマでも、お金をかけることなく廃車手続きを行ってくれるガソリンスタンドの廃車買取。ディーラーで廃車を依頼した場合には廃車費用がかかることもあるため一見お得に感じますが、売却方法によっては古いクルマをより高く買い取ってもらえる可能性があります。

今回の記事では、ガソリンスタンドの廃車買取の特徴と愛車をより高く買い取ってもらうための方法をご紹介します。古いから値段は付かないだろうと諦める前に、是非参考にしてください。

田丸ゆりな

昔からクルマが好きでガソリンスタンドにて整備や洗車のお手伝いをした後、Jeepディーラーにて営業を担当。クルマの販売から下取り・整備や車両メンテナンスの経験あり。クルマ業界を離れた現在は、初心者からマニアまで、様々な人が自分に合ったカーライフを楽しめるようライターとしてクルマに関する情報を発信中。

ガソリンスタンドの「無料廃車」「1万円保証廃車買取」はお得なのか？

ガソリンスタンドで「無料廃車」「1万円保証廃車買取」という広告を目にして、気になっている方も多いのではないでしょうか。これらは、どんなに古くボロボロのクルマであっても走行可能であれば、無料もしくは1万円以上で引き取り処分や廃車手続きをしてくれるサービスです。

ディーラーや中古車買取店で、値段が付かないクルマを処分するには処分費用がかかるケースも。しかし、ガソリンスタンドが提供する「無料廃車」「1万円以上保証廃車買取」のサービスを利用すれば、お金をかけることなくクルマの処分をすることが可能で手続きの手間も省くことができます。

余分な費用がかからないため一見するとお得なサービスに感じますが、結論から言うとガソリンスタンドの廃車買取は一番お得な方法とは言えないケースが多いです。なぜならガソリンスタンドはクルマの買取に特化しておらず、買取を専門的に行っている業者と比べ中古車に関する知識や再販ルートが少ないからです。

ここからは、ガソリンスタンドが提供する廃車買取サービスと、より高くクルマを売る方法についてご紹介します。

クルマの買取という新しいサービスで利益率の回復を狙うガソリンスタンド

最近、ガソリンスタンドで廃車買取のサービスを提供する店舗が増えてきました。その背景には、低燃費車・ハイブリッド車・電気自動車の普及でガソリンの需要が減り、利益率が落ちてしまっているという状況があります。

ガソリンスタンドの店舗数のピークは1994年で全国に6万421箇所ありました。しかし現在の店舗数は3万箇所を割りピーク時の半分以下まで減少。その影響で生活に必要なガソリンを手軽に入手できないガソリンスタンド過疎地が生まれるほどです。
（参考：東京商工リサーチ）

このような厳しい経営状況を回復するために、全国のガソリンスタンドでガソリン販売以外のサービスの提供が活発化されており、新しいサービスの一環が今回ご紹介する廃車買取となります。

ガソリンスタンドでは、廃車買取で引き取ったクルマをまだ走行が可能で需要のあるクルマであれば中古車として転売。転売が難しいクルマは車載パーツの転売・エンジンやボディのリサイクルや還付金の受け取りで利益を得ることで、減少してしまった利益の回復を狙っています。

どんなクルマでも1万円が保証されるからといってお得とは限らない

どれだけ古いクルマでも走行可能であれば、1万円を保証してくれるガソリンスタンドの廃車買取は廃車費用がかからないため、一見クルマの所有者にとってメリットが大きいように感じますが、一番お得な売却方法ではないケースが多いです。

ディーラーや中古車買取業者で値段が付かないクルマを廃車にする場合、お金を受け取るどころか廃車費用を支払う必要があります。しかし中古車として転売が難しいようなクルマを専門で取り扱う廃車買取業者であれば、ガソリンスタンドでの買取保証金額を上回る値段を付けてくれる可能性があります。

またクルマの廃車手続きを行うと、あらかじめ1年分を支払っている自動車税や次回車検までの期間分をまとめて支払っている重量税・自賠責保険の未経過分が還付されます。通常、支払いを実際に行ったクルマの持ち主に還付されるのですが、ガソリンスタンドでの廃車の場合は買取価格に含まれていて受け取れないケースがほとんどです。

一方、廃車買取業者の中には公式ページで車両価格とは別に還付金をクルマの持ち主に返還すると明記している業者も。

還付される金額はクルマを処分する時期や支払っている税金の額によって変動しますが、車両価格と還付金の合計がガソリンスタンドの最低保証1万円を上回るケースが多いため、ガソリンスタンドでの廃車買取よりも高くクルマを処分できる可能性があります。

ガソリンスタンドだけでなく専門の廃車買取業者もチェックしてみよう！

廃車買取業者は古いクルマや事故車・故障車に特化した買取業者です。中古車としての需要がなくなってしまったクルマでもパーツ転売やボディー・エンジンに利用されている素材のリサイクルをしたり、日本では嫌厭されがちな高年式・高走行距離車を海外に輸出することで利益を生み出しています。

ガソリンスタンドの1万円保証廃車買取では「走行可能車であること」が条件となっているケースが多いですが、廃車買取業者なら事故車や故障車でも買い取ってもらうことが可能です。

ガソリンスタンドのように買取保証金額を明記している業者はありませんが、廃車買取業者では海外転売など古いクルマを高く売る再販ルートも確保していますので高額査定を付けてくれることも。

また廃車となった場合には、還付金を車両価格とは別でクルマの持ち主に渡すことを明記した業者もありますので、万が一車両本体に価格が付かなかったとしても手元にお金を残すことができます。

一括査定サイトと同様、業者ごとに得意な分野や転売先・特徴が異なりますので、是非公式サイトを訪れピッタリの業者を見つけてください。

ガソリンスタンドで廃車買取をするメリット・デメリット

ここからは、ガソリンスタンドの廃車買取を利用するメリット・デメリットをご紹介します。売却方法によって特徴が異なりますので、ご自身に合った方法を見つける参考にしてください。

ガソリンスタンド廃車買取のメリット

ガソリンスタンドで廃車買取をする大きなメリットは、身近な店舗で気軽に査定・売却ができ手続き等の手間が省けるという点です。

廃車手続きを代行してくれる

クルマを処分するには、車両本体を解体するだけでなくナンバーの地域を管轄する運輸支局にて廃車の手続きを行う必要があります。

運輸支局は平日しか営業していませんので土日休みの方だと手続きを行う時間を取るのが難しい上に、手続きに慣れていない方だと書類の記入や提出にかなりの時間がかかってしまうことも。ガソリンスタンドで廃車買取をすれば、このような面倒な手続きを代行してもらうことができます。

査定や契約後の車両持ち込みが楽

自宅から近いガソリンスタンドが廃車買取を行っていれば、店舗に出向くのが楽というメリットもあります。クルマを持込で売却する場合には、査定時とクルマの引渡し時の2回買取業者の店舗へ出向く必要がありますが、店舗数の多いガソリンスタンドであれば自宅近くで売却店舗を探すことができます。

また査定もガソリンの給油ついでに行うことができ、わざわざ予約を取ったり長い時間待たされることも少ないです。普段からよく行く馴染みのガソリンスタンドがあれば、そこでクルマを売却することで安心して廃車手続きやクルマの処分を任せることができます。

廃車費用がかからない

「無料廃車買取」「1万円保証廃車買取」を行っているガソリンスタンドで廃車を依頼した場合、廃車費用はかかりません。

廃車費用は業者によって様々ですが、ディーラーなどに依頼した場合には下記に記した費用が必要になるケースが多いです。

場合によっては、お金を受け取るどころか3～8万円を支払わなければいけないこともありますので、廃車費用を負担する必要がないことはガソリンスタンドの廃車買取の大きなメリットと言えます。

こちらの記事では、クルマの処分にかかる費用の内容や必要書類について詳しくご紹介しています。より詳細に廃車にかかる費用を知りたい方は、併せてご覧ください。

クルマの処分にかかる費用はどれくらい？3つの処分方法とかかる費用を紹介

ガソリンスタンド廃車買取のデメリット

ガソリンスタンド廃車買取のデメリットは、価格面に関するものが多いです。

買取専門店よりも査定額が低いケースが多い

ガソリンスタンド廃車買取のデメリットとしては、他の買取業者と比較すると査定額が低いことが挙げられます。ガソリンスタンドで中古車の査定を行う従業員は中古車の専門家ではありません。そのため本来であれば値段が付くクルマであっても適正な査定額を出してもらえず、最低保証価格で買い取られてしまうこともあります。

また中古車に関する知識に乏しい場合が多く、人気グレードや装備品、中古車市場の動向等を考慮してもらえず安値で買い取られてしまう可能性も。少しでも愛車を高く売却したいと考えているのであれば、ガソリンスタンド以外の方法も併せて検討すると良いでしょう。

※古いクルマや故障車など訳あり車の処分・売却をご検討中の方は、以下の記事も併せてご覧ください。

廃車買取のおすすめ業者7選！中古車買取との違いと処分費用のメリットを詳しく解説！

廃車の還付金を受け取れない

クルマを廃車することで、先払いしている税金や自賠責保険料の還付金を受け取ることができます。しかし、ガソリンスタンドでの廃車買取の場合このような還付金が買取価格に含まれており、クルマの持ち主が還付金を受け取れないケースが多いです。

例えば、来年2月が車検満期のトヨタ86の廃車手続きを5月中に行った場合、自動車税￥32,900、自動車重量税￥8,200、自賠責保険￥5,430の合計￥46,530が還付される計算となります。

還付される金額は車種や残存期間で変動しますが、これだけでもガソリンスタンドの廃車買取保証の1万円を大きく上回っていることが分かります。以下に、廃車手続きで還付されるお金と簡単な計算方法を記載していますので、クルマを廃車にした場合どれだけの還付金を受け取ることができるのか計算する参考にしてください。

こちらの記事では、廃車によって還付されるお金についてさらに詳しくご紹介しています。廃車による還付金の詳細を知りたい方は併せてご覧ください。

クルマの処分にかかる費用はどれくらい？3つの処分方法とかかる費用を紹介

愛車を高く手放したいなら一括査定サイトや廃車買取業者を利用しよう

クルマを高く売りたいのであれば中古車一括査定サイトや廃車買取業者の利用がオススメです。ディーラーで価格が付かなかったクルマでも、自走可能であれば中古車としての需要が残っている可能性があり、一括査定サイトなら古いクルマに強い業者が見つかることもあります。

一括査定サイトで価格が付かなくてもまだ諦めないでください。中古車買取業者の中には、高年式・高走行距離車といった通常の中古車として取り扱えないようなクルマを専門的に扱っている業者もあり、古いクルマだけでなく事故車や故障車にも値段が付くケースがあります。

出張査定にも対応！オススメのクルマ一括査定サイト

クルマの一括査定は、所定のフォーマットに売りたいクルマの基本情報と名前・電話番号・住所といった個人情報を一度入力するだけで、複数の業者に査定を依頼できるサービスです。

複数の業者にクルマを見てもらうことで、クルマを一番高く買い取ってくれる業者を見つけることが可能です。さらに自宅にいながら査定額を知ることができる「出張査定」にも対応。出張査定では査定士が自宅までクルマを見に来てくれますので、忙しい方でも自宅にいながら愛車の価格を知ることができます。

今回は、いくつもある一括査定サイトからオススメの5つをピックアップしました。それぞれ提携業者数や特徴が異なりますので、ご自身に合った一括査定サイトを見つける参考にしてください。

ガソリンスタンドの廃車買取まとめ

ガソリンスタンドでの廃車買取は、「廃車に必要な手続き代行費用やスクラップ費用がかからない」「近所で馴染みのある店舗に任せることができる」「ガソリン給油のついでに査定依頼ができる」などのメリットがあります。

しかし価格面では、「査定の知識が乏しくオプションやグレードを考慮した高額査定が難しい」「還付金がもらえないケースが多い」などのデメリットも。

少しでも高くクルマを売りたいと考えているのであれば、一括査定サイトや廃車買取業者など他のサイトの利用を併せて検討することがオススメです。一括査定サイトでは複数業者にクルマを査定してもらうことで、ディーラーで値段が付かなかったような古いクルマでも買取ができる業者を見つけることができます。

中古車買取業者で値段が付かなかった場合には廃車買取業者を利用しましょう。廃車買取業者はクルマを中古車として扱うだけでなく、中古車として再販が難しいクルマを解体した後にパーツを転売したり、ボディやエンジンに使われている素材をリサイクルすることで価値を生み出すことができます。

一見お得に感じるガソリンスタンドの「無料廃車買取」「1万円以上廃車買取」ですが、より高い査定額を出すことができる業者も存在します。それぞれの特徴を把握した上で、ご自身に合ったクルマの売却方法を見つけ納得のいく業者を選ぶことが大切です。