一般の乗用車に比べ寿命が長いハイエース。
その理由は、ディーゼルエンジンという頑丈なエンジンを採用していることがあげられるでしょう。
しかし、ハイエースがいくら長寿命とはいえ日頃のメンテナンスは必要不可欠です。もしメンテナンスを怠れば、もっと走れるはずのハイエースが本来より早く寿命を迎えることにもなりかねません。
そこで、ハイエースの耐久性の秘密である設計段階を解き明かすと同時に、寿命を延ばすためのメンテナンス方法やテクニック、さらにはハイエースに寿命がきたサインについても詳しく解説します。
自動車鈑金工場で高卒から10年ほど修行し、その後独立して自分の自動車鈑金工場を設立。中古車の粗悪さが許せず、中古車買取と鈑金修理を一つにしようとオークションに出入り。普通のクルマだけでなく修復歴車を落札して修理し直して販売や事故車を修復する仕事を20年程度行う。現在は財経新聞などにも記事提供を行うクルマ専門ライターとして活動中。
ハイエースの寿命が凄すぎる!乗用車とは比べ物にならないほど長い
ハイエースは1967年に登場し、商用目的に開発されました。
重い荷物の積載に耐えられる堅牢なボディと、優れた走破性を可能とするドライブトレーン(エンジンとその動力を伝達する装置)を有しており、乗用車とは比べ物にならない耐久性があります。
どれぐらい凄いのかと言うと、100万キロ以上走行できるポテンシャルを持つほど。これは一般の乗用車の10倍以上走行しても平気ということになります。
そして、海外ではもっと酷使した使用をされており、150万kmや200万km以上走行している現役のハイエースも珍しくありません。
乗用車は10万kmが一区切りだがハイエースの20万kmはまだ折り返し地点
一般に、10万km走行したクルマは寿命と捉えられがちですが、この10万kmの寿命に当てはまらないのがハイエースです。
ハイエースを仕事で使用している企業は数多くあり、配送業務などで1日200km程度走行するのが当たり前のことも多く、多い場合では400km以上も走行することがあります。
例えば、1日の平均走行距離が200kmとした場合、その企業の年間稼働日が265日だったとすると、1年間で5万3,000kmも走行することになります。そしてもし10万kmで寿命を迎えるなら、企業がハイエースを新車で導入して僅か2年で使えないクルマとなってしまいます。
このように短い寿命だとしたら、企業としてはクルマを導入することができません。そこで、ハイエースは10万km以上走行しても寿命を迎えることがないように作られており、20万km走行しても、まだ折り返し地点というパワフルさです。
ハイエースが100万km以上走行できる秘密は頑丈なボディとエンジンにあり
ハイエースが100万km以上走行できるには、当然メンテナンスも大事ですが、それよりも元の作りが頑丈であることが大きな理由です。
これだけ走行距離が伸びても問題なく走れるハイエースは、ボディの作りが乗用車と異なることが第一に挙げられますが、なによりも、ハイエースの心臓部であるエンジンにディーゼルエンジンを使用していることが大きな理由と言えるでしょう。
ガソリンエンジンよりも頑丈なディーゼルエンジン
ハイエースに搭載されているパワーユニットには、ディーゼルエンジンとガソリンエンジンがあります。この2つを比べると、ディーゼルエンジンのほうが頑丈なエンジンとして知られており、ガソリンエンジンより耐久性があります。
ディーゼルエンジンに耐久性がある理由は、燃焼方法の違いがあります。ガソリンエンジンもディーゼルエンジンも、燃料と空気を混合させて燃焼させることで動力を得ていますが、ディーゼルエンジンはエンジン内の圧力が高圧です。そのため、ディーゼルエンジンは高圧に耐えられるよう設計されているので、エンジン本体は頑丈に作られています。
また、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンより構造が簡単であることが挙げられます。
その一つに、ガソリンエンジンの場合は、ガソリンと空気の混合ガスを燃焼させるために、スパークプラグで着火する必要があり、高電圧を発生させる装置が必要です。しかしディーゼルエンジンは、軽油と空気の混合ガスをエンジン内に噴射させ、圧縮したときに自然着火するので、燃料の混合ガスへの着火装置が不要です。
このように、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンより簡素化されていることから部品点数が少ないので、結果的に故障する部品も少ないことが大きなメリットです。
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「ラダーフレーム」こそハイエースを堅牢に支える秘密
ハイエースは「ラダーフレーム」というフレーム構造を採用しています。このフレームは、ハシゴ状にスチールの角材を溶接したフレームの上にボディを被せた構造です。
このラダーフレームは古くからあるフレーム構造で、構造がシンプルで安価でありながら、非常に堅牢なフレームを構築できる点がメリットです。ラダーフレームが堅牢なのは、左右に太い角材が1本ずつあり、それらを繋ぐように筋交いを行いながらハシゴ状に組み立てられているからです。厚い鉄板の角材でできているので、ちょっとやそっとの衝撃ではびくともしません。
そして、このラダーフレームにボディを載せているので、ボディに損傷があってもフレームに問題がなければ、そのまま走り続けられるというメリットがあります。また、ラダーフレームとボディが分離できるので、仮にボディに大きな損傷を負ってもフレームが無事であれば、ボディのみ取り外して修理または新しいボディを載せることで使い続けることが可能です。
ハイエースは、このラダーフレームを採用していることで、耐久性のあるボディを手に入れています。過酷な荷物の積み下ろしでも問題ないことから、多くの企業や個人商店などではハイエースを採用しています。
現在、殆どの乗用車はモノコック構造のフレームを使用しています。モノコックとは、クルマのボディ全体がフレームとしての役割を担っています。モノコック構造でも、エンジンやサスペンションなどを取り付ける場所は、確かに強固なフレーム構造となっています。しかし、モノコック構造では、走行中に発生する振動などの力の発生を、ボディ全体に吸収させています。そのため、衝撃を分散吸収させることによって乗り心地やハンドリングが良いので、乗用車に広く採用されています。
ハイエースの寿命を縮ませない必要最低限のメンテナンス6つ
ハイエースは、エンジンもボディも一般の乗用車に比べて頑丈なので、長く乗り続けることが可能です。しかし、いくら頑丈にできているハイエースでも、メンテナンスを怠っていては長く乗り続けることは難しいでしょう。
ハイエースの寿命を延ばすためには、以下の6つのメンテナンスが欠かせません。
- エンジンオイルはメーカー推奨通りに交換
- ATフルードやミッションオイルをメーカー推奨通りに交換
- 冷却水を車検ごとに交換する
- ファンベルトは5万kmで交換
- エアクリーナーは5万kmで交換
- 下回りのダメージ軽減のために洗浄や防錆を完璧にしよう
1:エンジンオイルはメーカー推奨通りに交換
クルマにとって、エンジンオイルは人間で例えるなら血液のようなモノであり非常に重要です。ハイエースもエンジンが強固ですが、オイル管理が悪ければエンジンは故障してしまうでしょう。
エンジンオイルは、定期的な交換をするよう自動車メーカーも取扱説明書に明記しています。そこには、ディーゼルエンジン車は約20,000kmごとで交換するように推奨されており、しかも12か月を超えないことと注意書きがあります。また、約20,000kmごとでオイルフィルターの交換を必ずするよう明記されています。
ディーゼルエンジンの場合、オイル交換を怠ると排気ガス浄化装置の寿命を縮めることになることが、取扱説明書に明記してあります。また、ディーゼルエンジンを長期間使用していると、軽油がオイルの中に混じりオイルを薄めてしまうので、本来のオイルの性能を保持できなくなります。
このエンジンオイルに軽油が混ざる理由は、排ガス浄化装置であるDPRが装着されているからです。この機能を正常に作動させ、排ガスをクリーンにするためには、生燃料をシリンダー内(エンジン内の筒状の構造をした部分)に噴射しており、これがシリンダー内壁を伝いオイルパン(エンジンオイルを貯めている部分)に落ちるからです。
ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比べてオイルが汚れやすいので、オイルの中にはガソリンエンジンより高性能な洗浄剤が添加されています。しかし、長期使用で軽油の混入により薄まったオイルでは、オイル性能を十分に発揮できなくなり、エンジン故障に繋がるでしょう。そこで、重要なのは最低でもメーカー推奨のオイル交換時期を守ることです。
ただし、シビアコンディションと呼ばれる悪路や未舗装路、そして雪道や山岳道路を多く走るような場合や、低速走行やアイドリングが多い使用方法をするような場合は、20,000km以内でもオイル交換が必要です。
2:ATフルードやミッションオイルをメーカー推奨通りに交換
ハイエースには、マニュアルとオートマがありますが、それぞれギアオイルが使用されています。このオイルを交換することは、基本的に必要ないと言う人もいれば、定期的に交換したほうが良いと言う人もいます。
しかし、走行距離が長くなったハイエースのマニュアルの場合は、ミッションオイルを交換してもそれほど問題ありません。しかしオートマの場合は、オートマオイルを無交換で10万km以上走行しているなら、交換はしないほうが良いとされています。その理由は、オートマの構造は針のように細い通路をオイルが流れているので、オイル交換によりオートマのギア内部のオイルスラッジ(汚れ)が剥がれ落ちて、オイル通路を塞ぐなどして故障の原因になるからです。
ただし、オートマオイルを無交換で20万km以上走行しているハイエースは、変速ショックも大きくなるほかレスポンスも悪くなります。その場合は、オートマオイル交換を得意とする専門ショップで、オートマオイル交換することをお勧めします。
このほか、デファレンシャルギアやブレーキにもオイルが使用されているので、メーカー推奨の交換時期を守りながら規格に合った新しいオイルに交換することが重要です。
3:冷却水を車検ごとに交換する
エンジンには、エンジンの発熱を抑えるために冷却水が使用されています。この冷却水はLLC(ロングライフクーラント)と呼ばれ、トヨタ車の場合は赤い色をしたLLCを使用しています。
このLLCには、通常タイプとスーパーLLCと呼ばれる交換サイクルが長い冷却水があるのですが、ハイエースはスーパーLLCを使用しているので、通常より長いスパンでの交換が可能です。とはいっても、半永久的に交換しなくても良いのではなく、新車からは16万kmまたは7年で交換が目安とされています。また、2回目以降の交換は8万kmまたは4年で交換を推奨しています。
このLLCの役割は、エンジンの冷却だけでなく、様々な添加剤によりLLC経路の防錆や寒い時期の凍結防止にもなっています。
もし、LLCを交換しなかった場合に起きる不具合としては、古くなることでLLCの冷却能力が低下し、最悪はオーバーヒートを誘発させる恐れがあるほか、防錆効果が落ちてラジエーター内やエンジン内のLLCを循環している経路を腐食させることも考えられます。
ハイエースは、頑丈なエンジンが搭載されていますが、LLCの劣化による腐食など防ぎようがありませんから、定期的な交換が必要です。そしてLLCの交換時期は、車検時の点検に合わせて交換を考えるようにしておけば、忘れることがなくて安心です。
4:ファンベルトは5万kmで交換
ハイエースにもVベルト(ファンベルト)と呼ばれるベルトが取り付けられています。このベルトはエンジンからの動力をベルト駆動にて、オルタネーター(発電機)、エアコンコンプレッサー、パワーステアリングポンプ、冷却ファンを稼働させています。
このVベルトは、頻繁に切れるものではありませんが、ゴム製なので走行距離や経年劣化により切れることがあるため、点検時に異常が見られたらすぐに交換する必要があります。
一般的に6万Km以上走行するとかなりくたびれているため、ベルト鳴きなどの症状が出てきます。この6万kmが一つの寿命の目安として捉えることができるので、ハイエースに乗っているなら、5万kmを超えたらそろそろVベルト交換を考えたほうが良いでしょう。
仮に、交換せずにそのまま乗り続けて走行中に切れてしまうと、かなりクルマにとって致命的な故障となります。例えば、オルタネーターが動かなければ発電されなくなり、バッテリーに蓄えられた電力を使い切ると、クルマはストップするでしょう。そしてパワーステアリングポンプが作動しなくなれば、ハンドルは強烈に重くなり走行が難しくなり、最悪な事故を誘発する恐れすらあります。
このように、Vベルトが切れるとクルマに与える影響はかなり大きくなります。そこで、日常的に点検を行うことによって、大きな故障を未然に防ぎましょう。
5:エアクリーナーは5万kmで交換
エアクリーナー(エンジンが吸い込む空気のフィルター)は、昔のクルマ好きであれば、自分で外して清掃するなどのメンテナンスを行っていたものですが、最近のクルマはエアクリーナーを外すにもかなり多くの部品を外す必要があります。そのため、自分で清掃や交換をする人が減っていますが、エアクリーナーの定期的なメンテナンスはエンジンコンディションを保つために非常に重要です。
エアクリーナーの役目は、エンジン内に送り込む空気を濾過することです。走行中に、ゴミや砂そして虫などがエンジン内に混入して不調を起こさないようにするための、重要な役割を担っています。しかし、このエアクリーナーは、使用時間が長いと目詰まりを起こして空気の吸い込みが悪くなります。
空気の吸い込みが悪くなると、エンジンパワーが落ちたり燃費が落ちたりと、日常の使用において不具合をもたらすので、定期的なメンテナンスが必要です。ハイエースの場合は、50,000kmごとの交換を推奨しており、さらにシビアコンディションの場合は、25,000kmでの交換を勧めています。
6:下回りのダメージ軽減のために洗浄や防錆を完璧にしよう
降雪時に、融雪剤を撒いた道路や海の近くを頻繁に走行するなら、下回りの洗浄や防錆を疎かにしないことが不可欠です。
ハイエースを長く乗り続けるには、エンジンなどのほかにボディのメンテナンスも欠かせません。特に、雪国を多く走るクルマは融雪剤によるダメージが大きく、また海辺で使用される場合も潮風によるボディへのダメージが懸念されます。
そこで重要なのがハイエースの洗車ですが、特に下回りは洗車が行き届かないことも多くなるので、下回りの洗浄のほかに防錆処理も重要となるでしょう。
ハイエースは、ラダーフレームを使用していますが、スチール製なので錆による影響は非常に大きくなります。新車時には、下回りにシャシーブラックと呼ばれる防錆塗装が施されていますが、走行していると飛び石などで傷が付き、そこに融雪剤などが付着すると、そこからサビが回りフレームを腐食させます。
走行すれば、下回りに傷一つ付かないなんてことはあり得ないので、雪国や海辺を走った後は、下回りの洗浄が必須となるでしょう。
ハイエースの寿命を見極めるポイント5つ
いくら堅牢なハイエースとは言え、いずれは寿命がやってきます。寿命がきた車に乗ることは危険も伴いますので、乗り換えも考えるべきでしょう。
まずはハイエースの寿命を見極めるポイントをみていきましょう。
ハイエースの寿命を見極めるポイント5つ
オーナーが「愛車の寿命が尽きた」と感じた時が、ハイエースの寿命であることに間違いありません。しかし、本来の寿命は自動車修理業者などのクルマの専門家に見極めてもらうほうが良いでしょう。
とはいえ、ハイエースに乗っているユーザーの中には、自動車修理工場に寿命を相談する時間が取れない方や、自分でも見極めたい方もいるでしょう。そこで、実際に寿命が訪れるときには以下の5つのポイントが挙げられるので、参考にしてみてください。
- エンジンやトランスミッションなど複数に不具合が発生している
- 車検の見積もりで20万円を超える見積もりが提示された
- 修理に出しても完治しない
- 事故を起こした
- エアコンを始め快適装備が複数故障した
1:エンジンやトランスミッションなど複数に不具合が発生している
トランスミッションの故障とエンジン内部の故障が重なった時や、トランスミッションとサスペンションやデファレンシャルギア(リアタイヤの回転差をつける装置)が同時に故障したときなど、大きな部品が同時に故障したときに寿命が迫っていると考えれば良いでしょう。
ハイエースが頑丈なクルマとはいっても、故障する時は前触れもなく起きるものです。しかも、ハイエースも機械の集合体であるので、長く乗り続けていれば1か所だけでなく数カ所同時に故障することもあるでしょう。
例えば、エンジン不調で自動車整備工場に点検依頼したときに、オーナーはエンジンの不調と感じていただけのことが、実際にはトランスミッションを含めた複合で故障が発見されることも、少なくありません。
また、エンジンには補器類と呼ばれるエンジンを作動させるために必要な部品が、多数取り付けられています。これらの部品は単体での故障もありますが、1つの部品が故障することで連鎖的に違う部品が故障することもあります。
そこで、ハイエースの寿命を考えたときに、複数の故障が発覚し、しかも大掛かりな修理が伴うような場合は寿命と考えて、手放すことを考えても良いでしょう。
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2:車検の見積もりで20万円を超える見積もりが提示された
車検はハイエースにも訪れますが、バンタイプと呼ばれる4ナンバーと1ナンバーは毎年車検で、3ナンバーでは2年毎の車検になります。そこで、2年毎であれば他のクルマと同じ車検サイクルですから、法定料金と呼ばれる重量税は自賠責保険が2年分請求されるので、だいたいそれだけで5万円~6万円程度かかります。そこに車検基本整備費用などのほか、定期交換部品などを含めても15万円前後で通常の車検を通すことができます。
しかし、毎年車検の1ナンバーや4ナンバーでは、法定費用が3万円~4万円程度であり、車検整備費用や定期交換部品を合わせても10万円程度あれば車検を通すことができるでしょう。
これらの平均的な車検費用を考えると、車検で20万円を超えるような見積もりが提示されたとなれば、かなり大掛かりな修理が必要であることがわかります。しかも、大金を支払って車検に通したとしても、次回の車検で大きな出費が訪れないという保障はありません。
クルマというのは、ハイエースに限らず故障は同じような時期に訪れます。それはなぜかと言うと、クルマを新車として組み立てる時期が全て同じなので、故障するときも同じような時期になるからなのです。
このほかにも、車検見積もりでは見つけられない部品の故障も考えられます。クルマは部品を分解しなければ故障している部分を特定できないことも多く、高額な見積もりにさらに上乗せされる可能性もあります。
このことから、一つの目安として20万円を超えるような車検見積もりが提示されたら寿命と考えても良いでしょう。
車検費用20万円は高い?車検費用を抑える方法と買い替えるべきかの判断ポイントを解説!3:修理に出しても完治しない
ハイエースには多くの部品が使われており、故障した場合はそれらの部品を交換または調整を行うことで、通常通りに走行可能となります。
しかし故障の中には、故障した部位を100%特定することが難しいことも少なくありません。特にクルマからの異音を見つけるのは困難を極め、故障部位を探し当てるには整備業者の経験が重要となります。
しかし、クルマから異音が発生していたり、走行に不安が出るような故障があれば、整備業者に点検修理を依頼するしかありません。そして修理が完了して、また同じような症状が繰り返されるようであれば、再度修理依頼することになりますが、それでも症状が改善されないなら寿命を考える時期と言えます。
もちろん、修理しても直らない場合は、その整備工場の技術不足も考えられますから、症状が改善しないなら他の整備工場で修理依頼してみることも重要です。これらのことを実行しても、まだ故障が改善しない場合は寿命と言えるでしょう。
4:事故を起こした
非常に悲しいことですが、事故は突然訪れるものです。もし事故を起こしてしまった場合、ハイエースを簡単に修理できる状態なら問題ないでしょう。しかし、金銭的な問題などで修理を諦めなければならないこともあるでしょう。
ただし、高額な修理費用をかけて修理ができるハイエースであれば、まだ寿命ではありませんが、ハイエースの強度が事故前に戻らないほどの損傷がある場合には寿命と言えるでしょう。
ハイエースはラダーフレームを使用しているので、ボディが多少歪んでいてもラダーフレームさえ無事であれば、ハイエースの強度は保たれています。しかし、ラダーフレームを大きく損傷した場合は、修理できないことはありませんが、通常の修理方法では強度は元に戻りません。仮に、腕の良い自動車鈑金修理工場で強度を落とさずに修理可能と言われた場合は、かなり高額な修理費用となることが考えられ、新しくハイエースを購入したほうが安くなる可能性も否定できません。
このように、ハイエースの場合は、事故でフレームに大きな損傷が認められたときには、寿命と考えて乗り換えたほうが無難と言えます。
事故車の修理と買い替えの判断基準を徹底解説!保険を利用したお得な買い替え方法も合わせて紹介5:エアコンを始め快適装備が複数故障したらそろそろ寿命が近い
ハイエースは、あらゆる環境で快適に移動できるように配慮された快適装備が用意されています。その中で、特に重要なのはエアコンですが、このエアコンは多くのパーツから構成されており、修理費用が高額となる部品も存在します。
特にエアコンでは、車内に取り付けられている部品と車外に取り付けられている部品の2種類に分けられます。そして、車内のパーツが故障するとかなり大掛かりな分解が必要となることから、修理費用が高くなることが予想されます。
エアコンが故障するほど使用しているハイエースでは、他の快適装備にも不具合が出ている可能性があります。例えばナビもその一つですが、これらの電装品もエアコンと同じ時期に故障することが考えられ、多くの快適装備に不具合が出ると乗り続けることをストレスと感じることにもなりかねないので、そろそろ寿命と考えても良いでしょう。
ハイエースが寿命と感じたときの対処方法3つ
ハイエースを長く乗っていると、そろそろ寿命と感じることがあります。例えば、今まで聞こえなかった異音が多くなり、修理してもそれほど改善しない場合や、エンジンにパワーが無くなった場合などでしょう。
このように、普段より使い勝手が悪いと感じ始めたら、まもなく寿命が訪れると考える人が多いです。しかし、オーナー自身が寿命と感じたとしても、意外と他の人にとっては、十分に使える魅力的なハイエースとして目に映ることもあります。
そこで、ハイエースの寿命が近いと感じたときには、以下の3つの対処法が考えられます。
- ハイエース買取専門店に相談する
- 中古車買取店に売却する
- 海外輸出に強い買取業者に相談
- ランニングコストをクルマ屋に相談
1:ハイエース買取専門店に相談する
ハイエースは、国内でも高い人気を誇る車種の1台であるため、ハイエースを専門に扱う中古車店があります。そこで、所有するハイエースが寿命と感じたら、ハイエースを得意とする専門店に相談してみると良いでしょう。
すでにハイエースを寿命と感じている方は、売却を考えていることでしょうから、ハイエース専門店は修理専門店ではなく、ハイエース買取専門店に相談します。ハイエース買取専門店であれば、ハイエースに詳しい店員しかいないので、乗っているハイエースを、できるだけ高く買取してもらえる可能性が高いでしょう。
以下、ハイエース買取の専門店です。興味のある方はこちらのリストからご確認ください。
2:中古車買取店に売却する
ハイエースも普通のクルマと同じく、中古車買取店での買取も可能です。中古車買取店では、ハイエースが人気であることを知っているので、一般の乗用車より高額査定が出やすいことでも知られています。
ハイエースがだいぶくたびれてきたと感じたときに、ハイエース買取専門店が近くにない場合などは、中古車買取店でも意外な高額査定を出してくれることが少なくないので、積極的に査定に出してみましょう。少しでも高く売るためには、査定をとって自分のハイエースの買取相場を知ることがとても大切です。
現在はネットから簡単に一括査定の申し込みができますので、買取金額を比較したい方は以下のボタンから一括見積もりをしてみてください。
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3:海外輸出に強い買取業者に相談
ハイエースの買取を考えたものの、ハイエース専門店や中古車買取店での買取価格に納得できない場合や、買取を拒否されることもあるでしょう。これは、特に国内で保安基準を満たすように整備して乗り続けることが、かなり難しいと判断されたときに、格安な提示価格や買取拒否などの事態になることがあります。
そこで、そのような場合にお勧めなのが海外輸出を専門としている業者に相談することです。海外輸出では、エンジンさえ始動すれば売却できることが多く、ハイエースに故障が多くても買取してもらえるでしょう。
また、海外輸出専門業者は、廃車にしなければならないような状態にあるハイエースであっても買取が可能なので、かなり使い込んだことによって走行不能に近い場合でも、買取してもらえます。
だいぶ古くなったハイエースでも金額をつけてもらえる可能性は十分ありますので、あきらめずに一度査定をとってみることが大切です。
以下、ハイエースの海外輸出を行っている買取業車「株式会社 Direct Stock Japan」へのリンクです。ハイエースに特化した業者なので、高値で引き取ってもらえる可能性もあります。お問い合わせフォーム、電話での概算査定もとってもらえますので、興味のある方はこちらのリンクから問い合わせてみましょう。
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4:50万kmを超えたらランニングコストを整備業者に確認してみる
ハイエースは、定期的に点検整備を行い、消耗品を定期的に交換していれば、非常に長い寿命を持つクルマです。しかし、いくら点検整備を行い、消耗品をメーカーの推奨通りに行ってきても、乗り方や使い方次第によっては個体差が出てきます。
そこで、長く乗り続けて走行距離が50万kmの大台になったら、これからどの程度のランニングコストがかかるか、一度整備工場に見積もってもらいましょう。
例えば、次の車検までの間に故障が発生する可能性を秘めているようでは、長く乗り続けることは困難と言えます。しかも、故障する可能性が高いと見積もられれば、なおさら長く乗り続けることは難しいと言えます。
このように、いくら丈夫なハイエースも走行距離が増えれば故障する頻度も増してくるので、その意味を含めても、50万kmを超えるような個体であれば、その後のランニングコストがどの程度かかるのか、整備工場に一度は聞いてみると良いでしょう。
ランニングコストの一つの目安としては、燃費性能の悪化やエンジンパワーの落ち込みも考えられますし、修理の頻発具合がどの程度で起きるかも関係してきます。現代のクルマであれば、できるだけ次の車検まで故障がないことが望ましいので、整備工場に相談するときには、この先における燃費の悪化やパワーダウン、車検前に大きな修理が起きることはないかを確認すると良いでしょう。
まとめ
ハイエースは、基本設計が一般の乗用車と異なるので寿命が長いことで知られています。しかし、長持ちするハイエースだからといって、乗りっぱなしでは各部に傷みが発生するのはハイエースも同じです。
ハイエースは、数10万km以上の走行に耐えられるよう設計されており、海外では200万km以上走行する個体があるほどです。しかし国内では、そこまで酷使している人は非常に稀と言えるでしょう。しかし、走行距離が数10万km走っていても欲しい人がいるのがハイエースであり、これも長寿命のハイエースの大きな特徴でしょう。