クルマを買い替えるタイミングには、お目当ての新車の発売、愛車の事故や故障、環境の変化など様々なものがあります。その中でも、多くの方が意識されているのが「走行距離10万キロ」ではないでしょうか。
日本車は故障が少なく丈夫なので、メンテナンス次第では20万、30万キロと走り続けることもできます。しかし、「走行距離10万キロがクルマの寿命」という認識は、以前からあまり変わっていないようです。
まだまだ走ることができる走行距離10万キロのクルマですが、なぜ買い替え時だと言われてしまうのか、その理由と賢い買い替え方を解説します。
新車の純正オプション取付やコーティング業をしながら車専門のWebライターとして活動中。車好きで愛車のカスタムが趣味。車は6台目で、乗り換えの際は買取や個人売買を利用。現在は愛車のロードスターを長く綺麗に乗るためのメンテナンスに精を出している。
もくじ
クルマの買い替え時が走行距離10万キロと言われる4つの理由は?
「クルマの買い替え時=寿命が走行距離10万キロ」と、広く一般に浸透している理由は大きく4つあります。まずは走行距離10万キロが買い替え時だと言われる理由を理解し、自分のクルマも買い替えるべきタイミングに来ているのかを判断する基準にしてみましょう。
理由①様々な部品の交換時期にあたるから
クルマは機械であり、たくさんの部品の集合体です。クルマの部品の中でも、特に部品数の多いエンジンとその周辺は走行中動き続けているので、年数の経過や走行距離の増加に伴って交換などのメンテナンスが必要です。
走行距離10万キロを交換目安にしている部品は種類が多く、いずれも部品代や交換工賃が高額になりやすい傾向にあります。高額な交換費用をかけるよりも、売却して次のクルマの購入資金に回したほうが経済的だと考えることもできるので、部品の交換時期を迎えることが買い替え時の判断基準の一つとも言えるでしょう。
走行距離10万キロのタイミングで交換が推奨される部品は多い
エンジン部品で10万キロを目安に交換すべき部品では、タイミングベルトが代表的です。タイミングベルトは、部品そのものの価格は高額ではないものの、エンジンの向きやタイプによって交換工賃に大きな差が生じます。相場は3万円~15万円前後です。
エンジン周辺部品では、サーモスタットやラジエーター、ラジエーターホース、各種センサー類も必要に応じて交換が必要となります。
足回り部品では、ショックアブソーバーやサスペンション、ブレーキディスクやブレーキホース、各部品をつなぐ樹脂・ゴム製のブッシュ類などが交換時期となるので、点検などで劣化状況を見ながら少しずつ交換を進めていくことになるでしょう。
いずれの部品も、メーカー純正品で新品交換をすると数万円~十数万円の費用が掛かり、まとめての作業になればまとまった費用が必要になってしまいます。走行距離10万キロを超えても乗り続ける場合は計画的にメンテナンスしていくことが重要です。
理由②買取価格が大きく下がるタイミングだから
日本国内での中古車市場では、走行距離が少ないほど売れやすい傾向にあります。走行距離10万キロが寿命だというイメージが定着してしまっているため、年式を問わず走行距離が少ない車体のほうが人気が高いです。
走行距離が10万キロを超えると、中古車市場における需要が見込みにくくなってしまいます。そのため、買取査定価格にも大きく影響を及ぼします。
中古車販売店にとっても走行距離10万キロ以下の車体の方が売りやすい
「カーセンサー」や「Gooネット」などの中古車情報サイトでは、走行距離が「5.5万キロ」のように1,000キロ単位で表示されることが多いです。
人気車種を探している場合は、掲載されている台数が多いため、好条件の車体を探そうと絞り込み検索を行う方が多いでしょう。走行距離で絞り込み検索をする場合は1万キロごとに設定でき、最大値が10万キロ以下(Gooネットでは15万キロ以下)となっているので、10万キロを超えてしまうと検索からはねられてしまう可能性が高くなってしまいます。
走行距離が10万キロを超えた車体は、しっかりとメンテナンスを行わないと故障や不具合のリスクも高くなります。販売時に適用される保証の期間や範囲の設定が難しく、販売時の整備で想定以上の作業が必要になることも。メンテナンスに手がかかる走行距離の多いクルマは、売る側にとっても買う側にとってもリスクに対する理解を求められます。
中古車販売店からすると、9.5万キロ程度までのタイミングで再販できたほうが望ましいと言えるでしょう。
理由③10年落ちを迎えるタイミングだから
日本国内の平均走行距離は、普通車で1万キロ、軽自動車で8,000キロ と言われています。当然、地域や用途によって増減しますが、おおむね10万キロを走行しているクルマは年式も10年落ちとなっている割合が高いです。
10年落ちを迎えたクルマは、今後の維持費の増加や買取価格の下落が生じるため、乗り続けるよりも買い替えたほうが良い場合があります。
10年落ちになると維持費がかかりやすい
新車登録から10年が経過すると、様々な部品が経年劣化によって交換時期を迎えます。走行距離10万キロでの交換部品もあわせると、メンテナンスにかかる費用がより高額になっていきます。
10年以上経過しているクルマの場合、車種によっては新品の部品供給が減っていたり終了していたりするため、パーツが手に入りにくくなることも少なくありません。それによってメンテナンスや修理が難しくなってしまうケースもあります。特に、販売終了から10年が経過するような低年式車になるとその傾向が強くなります。
また、新車登録から13年が経過すると自動車税の重課対象にもなるため、毎年の自動車税も年式が新しいクルマより割高です。さらに、車検を取得する際に納める自動車重量税も重課対象となります。
10年落ちは買取価格相場が下がりやすい
日本車のフルモデルチェンジの周期は約7年前後。10年落ちの車種は、一部を除き「型落ちモデル」となっていることが多いです。
クルマは、フルモデルチェンジが発表されると旧型の需要が減るため、旧型の買取相場が下がりやすくなります。10年落ちのクルマとなると、新型モデルが発売されており、13年落ちによる自動車税等の重課も視野に入れなければならないので、販売価格や再販需要が見込みにくく高価買取が難しくなっていきます。
走行距離が10万キロ、年式が10年落ちになる前に手放しておくことで、下取りや買取の大幅な査定額減を抑えることができるので、買い替えを検討し始めたら早い段階で査定を受けておくことがおすすめです。
走行距離10万ロ・年式10年落ちを迎えると、査定相場が大きく変動するタイミングにあたるので、下取りや買取の評価額は大きく下落してしまいます。
現時点の買取相場額を把握して、買取価格の適正範囲なのかを判断する基準を設けておきましょう。ズバット車買取比較なら、ネットですぐに相場がわかるうえ、半年後の推移もシミュレーションしてくれてとても便利です。
走行距離や年式を理由に不当に安い価格で買取されないよう、あらかじめ相場価格を調べておきましょう。
理由④メーカー保証は10万キロを目安にしているから
新車購入時に各自動車メーカーが提供しているメーカー保証には、エンジンオイルなどを除いた消耗部品などを保証する一般保証と、クルマの基本機能にかかわる部分を保証する特別保証があります。
一般保証は新車登録から3年もしくは走行距離6万キロのいずれか早いほうまで、特別保証は新車登録から5年もしくは走行距離10万キロのいずれか早いほうまで、と設定されていることが多いです。
10万キロまで保証される部品は、エンジン、トランスミッション、ブレーキ、ステアリング、足回り、電子制御、安全装置など、クルマの走行と乗員の安全にかかわるものが中心。当然ながら、これらの部品は保証期間が終わってからの交換になると、費用が高額になりやすいです。
原則、一般保証・特別保証の期間内であれば、修理やメンテナンスは保証が適用されます。しかし、ディーラーで定期的にメンテナンスを受けていた車体に限るなどの制約があり、保証適用で修理等の対応をしてくれるかはディーラーによって異なるので、事前の確認が必要です。
保証期間内のクルマを中古で購入した場合は、新車購入した所有者から保証の継承を受けた場合にのみ適用されます。中古車販売店で購入した場合は、メーカー保証の適用が受けられないことが多いので、こちらも購入時に確認しておきましょう。
新車購入して乗り続けていた車でも、10万キロを超えてしまうとメーカー保証の対象から外れます。その後の故障や不具合の際は、メンテナンス費用を自分で負担しなければいけなくなるので、乗り続けていく場合はメンテナンス費用の備えも必要になってくるでしょう。
走行距離10万キロのクルマをお得に買い替えるための売却方法は?
走行距離10万キロのクルマは、売却時の買取相場金額や乗り続ける際の維持費、メンテナンスや不具合への対処などを考慮すると、新たなクルマに乗り換えたほうが良いでしょう。
では、走行距離10万キロのクルマを売却して新たなクルマに買い替える場合、賢くお得に買い替えるにはどうすれば良いのでしょうか。
走行距離10万キロ・10年落ちを迎える前に手放すのがおすすめ
走行距離が10万キロを超えてしまうと、買取価格が下がりやすくなってしまうのは先述のとおり。まだ10万キロに到達していないのであれば、早めに売却に向けて動き始めましょう。
同じ年式、同じ使用感でも走行距離が少ないほうが査定額が高くなる傾向にあるので、走行距離が多いのは売却時にデメリットになりやすいです。少しでも早く査定を受けることで、走行距離による査定額への影響を抑えることにつながります。
10万キロを超えている場合でも、同じく早めに査定を受けるようにしましょう。メンテナンスや内外装の手入れの頻度によっては、十分に挽回が可能です。買取相場は一部の車種を除いて下がる一方。実際に売却するかは迷っているという方も、査定を受けてみることが第一歩です。もちろん、買取に出さないという結論を出すこともできるので、気軽に買取査定に申し込んでみましょう。
下取りよりも買取を利用しよう!一括査定で複数店舗を比較するのが重要
下取りは年式と走行距離から算出した時価評価額がベースとなっており、状態や装備による加算評価を受けにくく、買取価格の交渉も難しいと言えます。
買取の場合は、各買取業者の在庫状況や買取強化車種、中古車市場の需要などによって価格の変動があるので、人気車種であれば相場以上の査定額を目指すことも可能です。
買取業者に売却する場合、業者によって査定額は異なります。同じ車体でも数十万円の差額が生じることがあるので、2~4社程度に査定を依頼し、査定額を比較して売却することがおすすめです。
自分で1社ずつ買取業者を探すのは大変、複数の店舗を回る時間がない、という方には「カーセンサー」の一括査定がおすすめ。カーセンサーはクルマ一括査定サービスの最大手で提携社数は1,000社以上!最大30社に情報提供し、出張査定の依頼が可能です。複数社の査定を効率よく受けられるので、高額査定をしてくれる買取業者に出会えます。
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10万キロを超えて買取査定額が低い場合は廃車買取にも査定を依頼してみよう
すでに10万キロを超えているクルマも、複数の買取業者に査定をしてもらい、査定額を比較することが重要です。しかし、走行距離を理由に納得のいく査定額がなかなかもらえないケースもしばしば。特にコンパクトカーや軽自動車では、値が付けられないと言われることも少なくありません。
一般的な買取業者では値が付けられないと言われたり、査定額が低いと感じた場合は、廃車買取業者への査定も依頼してみましょう。廃車買取業者では買取できない車両は基本的になく、引き取りになる場合も費用をとっていないのが主流です。
一般的な買取業者は、国内で中古車として再販することが多いため、日本国内では需要が高いと言えない走行距離の多い車は査定額が低くなりやすい傾向にあります。一方、廃車買取業者は修理して国内で再販したり、海外へ輸出したり、解体して部品のみを販売したり、スクラップして換金したりと、様々な販路を持っています。だからこそ、通常買取よりも高く買い取ってくれたり、通常買取では引き取りに費用が掛かると言われるような車体でも0円以上で引き取りしてくれます。
もし、買取査定を受けて値が付かない・査定額が低いといった時は、最後の手段として活用してみましょう。おすすめの廃車買取業者を紹介している記事もあるので、参考にしてください。
廃車買取のおすすめ業者7選!中古車買取との違いと処分費用のメリットを詳しく解説!走行距離10万キロのクルマを少しでも高く売却して次のクルマの購入費用に充てよう
走行距離10万キロのクルマを買い替える際は、少しでも高く売却して次のクルマの購入費用に充てるのがおすすめです。走行距離が10万キロを超えたクルマは買取価格が下がりやすいですが、状態によっては相場以上の査定額で売ることも可能です。そこで、走行距離10万キロのクルマを高く売るために気を付けたい点や、お得に買い替えるコツをご紹介します。
少しでも高くクルマを売るには日ごろのメンテナンスが重要
走行距離10万キロのクルマを少しでも高く買い取ってもらうには、日ごろのメンテナンスが重要です。メンテナンスには、オイル交換や劣化した部品の交換のほか、洗車や内装の手入れなども含まれます。
走行距離が多くても、きれいに使われて手入れされているクルマは印象が良く、査定にもプラスに働きます。走行距離は日々使っていればどうしても増えてしまうものなので、メンテナンスに力を入れましょう。
クルマとしての機能を損なわないメンテナンスを怠らない
クルマは機械であり、命を乗せているので安全性が最も重視されます。「走る、止まる、曲がる」にかかわる部分に劣化や不具合がみられると、走行距離にかかわらず査定額に影響を及ぼすので、定期的な点検や劣化部品の交換をしっかり実施するようにしましょう。
また、オイル交換の頻度を1年→半年、半年→3か月のように短くし、エンジン内部部品の摩耗をできるだけ抑えられるようにしたり、オイルシールやブッシュなどのゴム・樹脂製部品の交換を少しずつ進めていくのがおすすめです。走行距離が多くなるほど、メンテナンスの頻度も増えますが、しっかりと行い続けることで状態の良い車体を維持できます。
内外装をきれいに維持していると高評価につながる
走行距離が増えれば、それだけ車内で過ごす時間が増えるので内装に使用感が出てきたり、外装に小傷などのダメージが生じることは避けられません。
内装は自分の使い方や工夫によってダメージを抑えられるので、カー用品などを取り入れて対策していきましょう。内装で気にされやすい部分は、「日焼け」「におい」「シミ・汚れ」などです。「駐車中はサンシェードを使用する」、「空気清浄機や消臭剤を置いて車内での飲食や喫煙を避ける」、「シミや汚れを付けないようカバーなどを装着する」などの工夫をすると良いでしょう。
外装の小傷や洗車傷は、査定に大きな影響はありません。ぶつけてしまったような傷も、多少の査定額への影響はあるものの、修理費ほどの金額ではないので気にしなくてOKです。ただし、ほこりをかぶっていたり頑固な水垢が付いていると印象は良くないので、定期的な洗車は心がけるようにしましょう。原色の赤など、紫外線による色あせを起こしやすいカラーの場合は、ボディカバーを使用するのも効果的です。
査定前の洗車や掃除ひとつで買取価格が有利に!?プロが正しいクリーニング方法を紹介!費用が高額な部品は交換せずに売却しよう
走行距離10万キロは様々な部品の交換時期にあたります。交換済みのほうが査定額が高くなりそうなイメージがある方もいらっしゃると思いますが、そうとは限りません。
当然、次の購入者にとってはタイミングベルト等の交換が済んでいるほうがお買い得感がありますが、買取業者や販売店側から見ると一概にプラス評価とは言えません。
未交換のまま売却しても大幅な査定額の変動はなく、交換費用相当になることは少ないでしょう。未交換で買取した車両は、中古車として販売する際に交換作業を購入者に行ってもらうことで販売店の利益につながります。ですから、売却前に無理に交換しておく必要はありません。
部品交換に時間を要して買取時期が後ろ倒しになるよりも、少しでも早く査定を受けて売却するほうが買取価格の下落を防ぐことにつながるので、そのまま売却しましょう。
クルマを売る前に修理すべき?直さないほうがお得な理由3つをわかりやすく解説!売却する店舗で買い替えると手続きもシンプルで高額買取してもらいやすくなる
クルマの買取業者には、買取を専門に行う業者と販売も行っている業者があります。買取と販売を行っている業者では、買取と同時に購入をすることも可能なので、買い替えが同じ店舗で完結できます。
「ビッグモーター」や「アップル」など買取と販売を行っている大手買取業者では、買取と同時に買い替えると高額査定してもらいやすくなります。ローンが残っているクルマの買い替えなどにも対応できるので利用しやすいでしょう。サポートサービスなども充実しており、取引にも安心感があります。
買取と購入が同じ店舗で行えるので、書類の提出や車両の引き渡しなどの手続きがシンプルです。「この車体が良い!」というこだわりがなければ、予算や条件に合わせた在庫車両をおすすめしてくれるので探す手間も省けます。
【クルマ買取店の失敗しない選び方】大手と個人店のどちらがおすすめ?まとめ
走行距離10万キロのクルマは、その後必要となるメンテナンスや維持費の増加、買取相場の下落など総合的に判断すると買い替え時だと言えます。走行距離が10万キロに到達する前に買取の査定を受け、査定額によっては買い替える方向で進めたほうが良いでしょう。10万キロを超えていても、すぐに値が付かなくなるわけではないので、日ごろのメンテナンスをしっかりしておくことが大切です。買取に出す際は複数の店舗の査定額を比較し、場合によっては廃車買取の利用も視野に入れておくようにしましょう。